最高幹部2人が離脱、混迷ミクシィの前途 冴えない業績、迫るFB
広告収入が落ちる理由の一つは、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行に対応できていないため。もう一つは、ユーザー数の伸び悩みにある。パソコン経由の月間ログインユーザー数は11年6月にフェイスブックに抜かれた。携帯を含めた全体でも今年中に抜かれる見通しだ。
戦略ミスもある。10年3月に「招待制度」から「登録制度」に転換。11年6月には誰が自分のページにアクセスしたかがわかる「足あと機能」を実質的に取り払った。09年8月からはゲームなどのアプリサービスを順次導入してきたが、これにより、従来の“売り”だった日記を中心としたコミュニケーションが希薄化し、他社サービスとの立ち位置があいまいになった。
「フェイスブックは人と人をつなげることにこだわりを持ち、そのための機能をどんどん追加開発している。が、ミクシィはこの開発力が弱い。資金力と人的資源の差がありすぎる」と初期からミクシィをよく知るネット企業トップは指摘する。
かつてインターネットは、トップ企業がさらに強くなる業界といわれていた。が、AOL、米国ヤフーなど滑り落ちた企業は少なくない。とりわけSNSは、ユーザーが増えれば増えるほどその利用価値が高まるはずだった。が、かつて世界一だったマイスペースは見る影もなく、昨年7月にはニューズ・コーポレーションが6年前に買った価格の16分の1で同社を手放した。
つい最近までイケイケだったグリー、DeNAも、コンプガチャ規制で岐路に立つ。技術革新が早く、新しいサービスやビジネスモデルが次々現れるネット業界において、現在の勝ち組であるグーグルやフェイスブックも安泰ではありえない。
“両腕”を失った笠原社長。ミクシィを成長軌道に戻すことができなければ、うわさは現実となってもおかしくない。
(本誌:二階堂遼馬 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年5月26日号)
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