ついに!東大教授がダークマターの観測に成功か?【約5分で読める】宇宙の謎解明の期待かかる研究成果を東大生が解説

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「目に見えない物質なんて、本当はそんな物質ないんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、宇宙にはダークマターが存在しなければ説明のつかない事象が多く存在するため、現代の物理学ではダークマターの存在が認められています。

ダークマター観測のカギは質量と反応のしやすさ

では、性質の分からないダークマターをどのように見つければいいのでしょうか。

ズバリ、ダークマターの観測のカギは「質量」と「反応のしやすさ」です。

まずは、課題となるのはダークマターの質量の特定です。

簡単に言えば、ダークマターの質量によって宇宙からくるシグナルが変化します。そのため、質量が決まっていない状態だと探索が難しいのです。

日常生活で言えば、「ペンを落としたので探してください」と依頼されるのと「赤色のペンを落としたので探してください」と依頼されるのとでは、後者のほうが探しやすいですよね。なぜなら、落ちているものの中から赤色のものだけを探せばいいから。

似たようなことが宇宙空間でも起きていて、「ダークマターがあるはずなので探してください」と言われるより「これくらいの質量のダークマターがあるはずなので、探してください」と言われたほうが、物理学者としては探索がしやすいのです。

なぜなら、その質量から予測されるシグナルだけを見つけにかかればいいから。

ダークマターの候補となる粒子の質量は90桁以上にわたって存在し、各粒子を個別で探索する必要があったため非常に確率が低く、途方もないような作業でした。

実際に筆者も大学院では、ダークマターのうち超軽量粒子に属する粒子の1種類の探索を行っています。この実験は途方もないものでありながら、もし実験が上手くいってもその質量帯にダークマターが存在しなければそもそも見つけられるはずがないため、「この質量にダークマターはありません」といった存在の棄却を続けていくしかない状態でした。

粒子のグラフ
ダークマターの種類の質量における大別(図:筆者作成)

しかし、今回の論文では大きな発見がありました。

それは、「ダークマターの質量は500GeV(ギガエレクトロンボルト)くらいかもしれない」という発見です。この発見はかなり偉大です。

なぜなら、これからは500GeVのダークマターが存在すると仮定したときに発せられる信号に注力して観測をすればいいためです。

また、この500GeVの質量を持つダークマターはWIMPと呼ばれる粒子ではないかと予想されており、これによってダークマターの性質にもある程度の予想ができるようになりました。

次ページダークマターの性質が分かるかも…
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