「学習塾の倒産」が増加、少子化だけじゃない複雑な背景。学校教育が変わる中での<存在意義>と<生き残る塾の特徴>とは?
さらに主体性を尊重する教育の中で、勉強を強制するようなかつての同調圧力は弱まり、「勉強するかしないかは本人が決める」という価値観が浸透しつつあります。
また、不登校が増加し続け、文科省が支援のあり方として登校という結果のみを目標としないと言明したことからも、家庭や教育現場では無理に学校へ通わせることをよしとしない空気が強まりました。
その結果、子どもたちの学習意欲のばらつきは拡大しているように感じます。本人に学ぶ意思がなければ、そもそも塾に足を運んでもらえません。今の学習塾は、学習内容に入る前段階として、「なぜ学ぶのか」という意味付けから対話を始める必要に迫られているのです。
年々難易度を増す「講師の確保」
ところが、丁寧なコミュニケーションが求められているにもかかわらず、講師の採用は年々難易度を増しています。とくに働きやすさや柔軟性を重視する若手人材の確保は容易ではありません。従来のように、講師が長時間労働で授業もコミュニケーションもすべてを抱え込み、一人ひとりを濃密にモチベートする、といった働き方は期待しにくくなりました。
少子化で対象を広げて通塾期間を伸ばすほど講師の負担は重くなるのに、人材確保が厳しい中で同時に業務効率の向上も求められる――この二律背反を乗り越えるために、DX、すなわちデジタルトランスフォーメーションの必要性が学習塾でも高まっているのだと考えます。
とはいえ、長年、“紙と黒板とチョーク”で積み上げてきた現場にデジタルツールを根付かせるのは容易ではありません。経営者が意欲的に導入を進めても、運用方法の変更や業務フローの再設計に現場が反発することは珍しくありません。



















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