「学習塾の倒産」が増加、少子化だけじゃない複雑な背景。学校教育が変わる中での<存在意義>と<生き残る塾の特徴>とは?

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縮小

全国的にも、これまで高校生を教えられる講師の確保が難しく中学生までに限定していた学習塾が、映像授業や各種学習プラットフォームの導入によって小学生から高校生まで指導を広げるといった運営が一般化してきました。並行して、講師の役割も“ティーチング”から“コーチング”に変化しつつあります。

このようにテクノロジーを活用して対象学年と指導形態を拡張し、提供価値の幅を広げることで、マーケットの縮小に正面から対処する動きが当たり前となってきたのです。

コロナ禍でZoomのようなオンライン会議ツールが日常化したことから、オンライン学習塾も支持を得ているのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、現場感覚としてはそれほど単純ではありません。

全国にコンビニ並みの数があるとも言われる学習塾の世界で、通学可能な近隣の教室ではなく、あえてオンライン専業の塾が選ばれるには決定的な理由や魅力が必要です。

好調なオンライン塾の多くは、例えば大学受験対策においては教科・科目を教えるよりも、「志望大学に合格するためには、どのような教材を使ってどのように勉強すればよいか」といった勉強方法を教えるなど、ユニークな提供価値を前面に打ち出しています。

つまり、オンラインであること自体ではなく、ほかにない強みが選ばれるカギになっているのです。

今まで以上に求められる「コミュニケーション」

テクノロジーの導入が進んだことで、皮肉にも先生と生徒の関わりが相対的に薄れ、結果として退塾が増えてしまったという声も聞こえます。道具を入れれば自動的に成果が出るわけではなく、人的接点の設計が伴わなければ逆効果になりうるという教訓です。

とくに今は、これまで以上に双方向のコミュニケーションが求められています。昔と比べ、子どもたちの学習意欲には大きな個人差が見られるからです。近年は少子化の影響で高校入試や大学入試における定員割れは珍しくなくなり、「学校を選ばなければ、以前ほど勉強しなくても進学できる」という感覚が広がりました。

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