「通常の弁当と何が違う?」企業向け"冷凍置き配サービス" 解凍後のおいしさを逆算した調理の工夫

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「常に何かやらなくてはという焦燥感に駆られていましたね。貨物列車のコンテナを利用して、店の敷地内にカフェを一から自分の手で建てました。イートインやテイクアウトで販売するシフォンケーキやプリンなどのスイーツやスムージーなども研究して、メニューに加えました」(林さん)

「木木の釜座」のオーナーシェフ、林清次さん(筆者撮影)

同時にコロナの補助金を利用して、急速冷凍機を購入しました。製薬会社向けの高級弁当などコロナ前からテイクアウトは需要があり、何かできないかと模索してのことだった。

「そんなとき、近所で暮らす高齢のご夫婦が買い物にも行けず、おにぎりだけで1日を過ごしているという話を耳にしました。それが冷凍弁当を作るきっかけになりました」(林さん)

飲食店やコンビニが少ない工業団地に弁当を届けたい

温かい食事を気軽に、無理なく届ける方法はないだろうか。そんな思いからレンジで加熱して食べる冷凍弁当の試作が始まった。

素人からすれば、出来立ての料理を急速冷凍するだけのように思えるが、実際は違う。レンジで加熱すると火が入りすぎてしまうのだ。その分を逆算して、あえて未完成の料理を作らねばならないのである。

これまで料理人として調理を途中で終わらせることはしたことがなかったため、慣れるまでに時間を要した。

また、プリンを解凍する際には、固体と水分が分離してしまい、材料の比率を変えながら何度も試作を繰り返した。コロナ禍で時間だけはあったので、自信を持って勧めることができるものを作ろうと細部にいたるまでこだわった。

急速冷凍機で冷凍したハンバーグ。30分程度で冷凍することができるという(筆者撮影)

「試作したお弁当を知り合いや近所の人に配りました。『おいしかったよ』、『助かるよ』という言葉に背中を押されて、もっと多くの人に届けたいと強く思うようになりました。その頃、隣町の工業団地内にある配送センターで働いている常連のお客さんから、周辺には飲食店が少なくて困っているという話を聞きました。それがヒントになって、冷凍置き配弁当サービスを始めようと思いました」(林さん)

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