決死のパナソニック、プラズマ脱却で底入れなるか テレビ工場への巨額投資「過剰だった」
「有言実行でV字回復を果たす。結果を出す以外に、失った信頼を取り戻す方法はない」。11日、社長としての最後の決算会見の場で、パナソニックの大坪文雄社長はこう力を込めた。
前2012年3月期、パナソニックは過去最大の赤字に転落した。6月27日の株主総会をもって大坪社長は会長に退任し、津賀一宏専務が社長に昇格する。中村邦夫会長は代表権のない相談役に退く。
“プラズマ敗戦”がはっきりと示された決算だった。12年3月期は売上高7兆8462億円(前期比9.7%減)、営業利益437億円(同85.7%減)。テレビ事業での大規模な早期退職実施等に伴う構造改革費用として7671億円を計上し、純損失は7722億円に膨らんだ。
10年度の実績から売り上げは約8400億円も減少した。うち円高に伴うマイナス影響が約2000億円。残り約6400億円のうち、薄型テレビなど主力のAV機器事業の減収が7割を占める。
「06年にプラズマテレビ、08年に液晶テレビへの大きな投資を決めたが、結果として過剰投資になった」(大坪社長)。プラズマには延べ6000億円を投じたが、超円高とテレビの急激な価格破壊により、自社で作り上げた垂直統合モデルは完全に崩壊。「当初目指した台数をつくっても赤字」(同)になるという有様である。11年秋、稼働からわずか1年半の尼崎第3工場(プラズマ用パネル生産)の休止に踏み切った。前期、外販を含むテレビ事業の売上高はプラズマテレビが2638億円(前期比4割減)、液晶テレビが3923億円(同3割減)と大幅に落ち込んだ。外販を含めたテレビの販売台数は前期比200万台減の1550万台となった。