「戦後70年」をテレビはどのように伝えたのか 従来の終戦企画とは一線を画す作品が続々
かつてと違い、ネット配信が飛躍的に拡大した「戦後70年」の今日、テレビ放送をじっくり注視してもらえる時代ではない。そうしたなかで各局が「戦後70年」の集大成を国民に届けるためにさまざまな工夫をしていることもアンケートから浮かび上がる。日テレは「なるべく多くの人に見ていただけるよう、戦争企画の一部は、インターネット上で動画配信(Hulu)」、山陽放送は「番組と連動して、戦後70年をきっかけに自社施設の岡山映像ライブラリーセンターにて『発掘された空襲証言』と題したセミナーを開催。一般の参加者約50名を迎え、埋もれていた岡山空襲の証言掘り起こしとともに戦争について考える機会を持った」という。
中国放送は「キャンペーンCM:視聴者に被爆70年の記憶の継承を呼びかける60秒、30秒の局報を制作・放送(中略)、『被爆電車特別運行プロジェクト』:70年前広島を走っていた被爆電車に乗って、広島の復興の歴史を学ぶプロジェクトです。車内に大型モニターを設置して復興のVTRを視聴し、リーフレットで昔の被爆前の広島を学習いただきました。また当時の証言などを元に被爆電車を初めて昭和20年当時の塗装に復元(中略)。『まんがで語りつぐ広島の復興』:これまであまり語られなかった広島の再生と奇跡の復興の歩みをマンガにまとめました。若い人達に復興を支えた人々の勇気と責任感を感じてもらうのが目的です」。
広島ホームテレビは「ローカル局ではありますが広島エリア内の放送にとどまらず、キー局であるテレビ朝日との共同制作番組や平和記念式典のニコニコ生放送への配信などで、全国へ、世界へ、どう発信していくか?を考えています」という。「千の証言」と銘打って戦争体験の声を伝えたTBS、特修や特番を重ねたテレビ神奈川、CBCテレビなども一種の報道キャンペーンといえた。
過去映像をテレビの公共財に!
NHKが権利を持つ過去の映像素材を「公共財」として使用したいという要望もあった。
「戦前・戦時中の映像の多くはNHKに権利があることが多い。今の世の中、権利ビジネスは当然だが、ローカル民放局にも手頃な値段・簡単な手続きで使用させてもらえると助かる」(テレビ新潟)。戦争中の出来事を伝えるうえで過去映像は欠かせないが、NHKへの映像使用料金の支払いは地方局にとってはバカにならない。戦後70年を期に見直す動きがあってもいいはず。次の世代に伝えるため、戦時下の過去映像を公共財として各テレビ局が無償活用できる仕組みを作る時期が来ているように思われる。
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