「『クマを殺すな!』が、いまや『早く駆除しろ』に」 "過去最悪の死亡者数"に「クマ餌付けのフェイク動画」の蔓延…あまりに深刻な実態

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しかも動画の内容は、人間がクマにサツマイモなどで餌付けする。制服を着た少女が子グマを抱っこする。高齢者が怒鳴ってクマを撃退するなど、信じてしまう人が出そうな微妙なラインのものが多く、実際にフェイクであることに気づいていないようなコメントも散見されます。

もし動画を信じて餌付けしてしまう人がいたら、被害者はその1人だけでは済まないでしょう。餌付けされたクマだけでなく、その他の個体にも影響を与える危険性があるなど、直接的な人的・物的被害を誘発する危険行為であり、犯罪行為に近いニュアンスを感じさせられます。

実際のニュースに沿った内容が悪質

さらに悪質なのは、実際に報じられたニュースに限りなく近いフェイク動画。

「スーパーに侵入したクマ」「クマが犬をくわえて森へ逃走」などのニュースに合わせて動画が作られ、それを見た人が事実と混同するような声をあげていました。

これらは誤解を生むだけでなく、新たな被害にもつながりかねない行為だけに、政府はこちらの対策も本気でしていかなければいけないのかもしれません。

また、現在「クマが〇〇に出没」というニュースを量産しているメディアも単なる注意喚起にとどまらず、このような新たに生まれた問題も報じることで早い段階での改善にひと役買ってほしいところ。

こういう危機的状況こそ、PVや販売部数などを優先させず、報道機関としての適切な役割を果たすときでしょう。

同時にそれらを見る私たちも、フェイク動画を見極める目を持つことはもちろん、クマ対策は国の重大事であり自分事として考える意識の変化が求められているのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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