"一条校信仰"が壊れつつある…教育の常識に変化、東京・あきる野に誕生する小学生対象のモンテッソーリスクールにみる新しい価値感
今野氏はモンテッソーリ教育の保育園だけでなく、0歳~3歳の教師を養成するための「あきる野モンテッソーリトレーニングコース」もあきる野市で運営している。国際モンテッソーリ協会(AMI)から公認されている教師養成コースである。ここでの講演に、今野氏が安倍氏を講師として呼んだのだ。そして、あきる野モンテッソーリスクールの実現へと急展開していく。
あきる野モンテッソーリスクールには、安倍氏のほかに、6歳~12歳の教師資格をもち、教えた経験もある2人も教師として参加することになっている。「6歳~12歳の教師資格を持っているのは日本に10人もいないと思いますが、そのうち3人が参加するのですから、贅沢な学校です」と、安倍氏は言う。
学ぶことの楽しさを体感できる6年間に
来春の開校時の生徒は、小学1年生が中心になる予定だという。幼稚園や保育園でモンテッソーリ教育を受けて一般の小学校に入学し、そこで物足りなさを覚えた生徒を中心に受け入れるのかと思っていたら、そうではないらしい。その理由を今野さんは、次のように説明する。
「モンテッソーリ教育では、年上の子が年下の子に教え、下の子は上の子を見習いながら成長していきます。例えば、公立の学校で6年間を過ごした子が、モンテッソーリ教育の学校に来ていきなりリーダーシップを取れるかというと無理です。
モンテッソーリの保育園で育った子でも、そこから公立の学校で3年間も育つと、公立の文化になじんでいます。モンテッソーリ教育に戻れと言っても、子どもにとって大きな負担になってしまいます。だから1年生が中心、3年生までの子が若干名と考えています。そうして時間をかけて、あきる野モンテッソーリスクールの文化をつくっていこうと考えています」
その今野氏が説明会で接した保護者は、どういう考えを持っていたのだろうか。聞いてみた。
「まずテストの点数による学力は心配されていません。気にされていたのは、本当に子どもが学ぶことの楽しさを体感できる6年間になるのか、ということでした。それが、私たちが目指している教育でもあります。そういうことを学んだ子どもたちは、中学や高校進学でも有名だからとかではなく、自分のやりたいことが実現できる学校を選んでいくと思います。それを保護者も望んでいます」と、今野氏。
有名中学、高校、大学に価値があるという従来の“常識”にとらわれない子どもや保護者が確実に現れている。「そういう時代になってきているということです」と、今野氏も言った。時代は変わりつつある。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら