"一条校信仰"が壊れつつある…教育の常識に変化、東京・あきる野に誕生する小学生対象のモンテッソーリスクールにみる新しい価値感

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
今野徹
あきる野モンテッソーリスクールの運営母体「和の会」理事長の今野徹氏(写真:筆者提供)

そこから独学を始め、さらにモンテッソーリ教育の教師資格をとるために、東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターに通い始める。そして資格を取得して開設したのが、昭島モッテッソーリこどもの家だった。

といっても、昭島の自宅の一室を使っての開設だった。大学を卒業した今野氏が自宅を出ることになり、それで空いた部屋があったからだ。

1998年にはあきる野市に移転し、あきる野こどもの家を開設する。そして、2002年に和の会を設立し、あきる野こどもの家は認可保育園となった。現在は、今野氏が和の会の理事長であり、あきる野こどもの家の園長でもある。今野氏自身も、0歳~6歳までを教えるモンテッソーリ教師資格を取得してもいる。

「モンテッソーリ教育は0歳~6歳、6歳~12歳、12歳~18歳、18歳~24歳と発達に合わせた4段階に整理されています。ところが日本で広まっているのは、幼稚園や保育園などでの0歳~6歳の第1段階だけです。もちろん、人格形成の土台を構築する大事な時期にモンテッソーリ教育で学ぶことは重要な意味を持っています。しかし、せっかく築き上げた学びが、就学と同時にパツンと途切れてしまいます。モンテッソーリ教育に携わってきた者なら、誰もがこの状況を残念に思っています」(今野氏)

もちろん、今野氏もそう考えている1人である。そこに安倍氏から、モンテッソーリ第2段階の実践をする小学校をつくる話がもちかけられたのだから、反対するわけがなかった。

きっかけは「歌のお姉さん」での経験

それにしても、学校をつくるのは簡単ではない。そんな話をもちかけるとは、大胆というしかない。それくらい安倍氏はモンテッソーリ教育に心酔しており、かなり年季も入っている。

上智大学で教育学を学んでいた安倍氏は、そのころフジテレビ系列の子ども向け番組「ポンキッキーズ」で歌のお姉さんとしても活躍していた。そこでの経験がモンテッソーリ教育につながっていくのだが、安倍氏は次のように説明した。

「ポンキッキーズの全国ツアーで小児病棟の子どもたちとの触れあいをきっかけに、『子どもたちの成長をより深く支えたい』と考えるようになりました。そして、たまたまモンテッソーリ教育を実践している幼児教室でアルバイトするようになったのが、モンテッソーリ教育との出会いでした。子どもたちが教室に来て幸せに変化していく姿を目の当たりにして、『これだ!』と直感しました」

すぐに資格をとるための学校に通い、2008年に3歳~6歳を教えるモンテッソーリ教師資格を取得し、2016年には0歳~3歳の教師資格、2020年には6歳~12歳の教師資格を取得する。ただし、6歳~12歳の教師資格取得のためのトレーニングコースが日本にはないため、アメリカに留学しての取得となった。

「6歳~12歳の教師資格を取ったときには、結婚して子どももいました。アメリカで勉強したのは3年間でしたが、夏の2カ月くらいアメリカに行って学び、あとは日本で課題とかをこなすという生活でした」

そうした生活も楽ではないが、もっと大変なことがあった。安倍氏が続ける。

次ページ“習い事”ではなく学校にこだわった理由
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事