"一条校信仰"が壊れつつある…教育の常識に変化、東京・あきる野に誕生する小学生対象のモンテッソーリスクールにみる新しい価値感

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とはいえ、まだまだ保護者の意識には“1条校信仰”が根強く、わが子を一条校以外の学校に通わせることを躊躇する保護者は多い。

先述したように、公立小学校に通わせるのに比べて、かなりの高額だ。モンテッソーリ教育が広く知られているとはいえ、一条校ではないあきる野モンテッソーリスクールが開校したところで、はたして子どもたちが集まるのか、という疑問も浮かんでくる。

ただし、その心配は無用のようだ。これまであきる野モンテッソーリスクールでは説明会を3回開いているが、合計160組(子どもと保護者)が集まっている。あきる野市近郊からだけでなく、東京の23区に神奈川県や埼玉県などの近隣県、さらには栃木県や山形県、福岡県などからの参加もあったという。

一条校でなくてもいいし、何よりモンテッソーリ教育を小学生の時期にも受けたい、受けさせたいと考えている親子が、こんなにもいるということである。入学するとなると通学が無理な子どもも多いのだが、すでに移住の準備をすすめている保護者もいるという。保護者の意識は、確実に変わってきている。

なぜ、あきる野に開校するのか

あきる野モンテッソーリスクールは、運営母体である「和の会」理事長の今野徹氏と、校長に就任予定の安倍陽子氏の出会いから始まっている。

「今野さんから講演を依頼してもらって、講演したお礼ということでレストランでご馳走になったんですが、その席で私が『小学校をつくりましょう』と一生懸命に話しました」と、安倍氏。それに今野氏が同意して、あきる野モンテッソーリスクールの構想が動きはじめた。

安倍陽子
あきる野モンテッソーリスクールの校長に就任予定の安倍陽子氏(写真:筆者提供)

もちろん、同意する十分な下地が今野氏にはあった。「和の会」は、あきる野市で認可保育園「あきる野こどもの家」を2002年から運営している。この保育園で実践しているのは、モンテッソーリ教育である。

あきる野こどもの家の歴史をさかのぼると、前身は1989年に開設された無認可の「昭島モッテッソーリこどもの家」だった。開設者は、今野氏の母親である。その経緯を今野氏が次のように説明した。

「私が中学か高校のころ、専業主婦だった母親が突然、『保育士の資格をとる』と言いだして、専門学校に通いはじめました。そして資格をとると、学校に残るように説得され、指導する側になります。そして教え子たちの様子をみるために多くの保育園をまわるのですが、その中で出会ったのがモンテッソーリ教育でした。そのとき母親は、“雷に打たれた”ような衝撃を受けたそうです」

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