スペイン製のドイツ新型特急「ICE L」期待と不安 2年遅れたデビュー、メーカーの先行きは不透明
窓には、近年の車両に増えている携帯電話の電波を通しやすくする特殊なガラスを採用している。また、時間の経過とともに色調が変化する車内照明も、ICE 4に引き続いて採用された。
中間に1両ある車椅子対応車両は、合計3台の車椅子を同時に載せることが可能で、乗降口から車椅子対応トイレ、客室へとつながる動線もすべて対応した設計だ。新車発表会には、車椅子利用者や視覚障害者も招待され、乗降口から客室へ至るまでの段差や、移動しやすさなどを入念にチェックしていた。以前、高速列車「ICE 3neo」が導入された際、段差やドア幅などが車椅子対応になっていないとの批判を受けたが、ICE Lでは実物を確認してもらうために、関係者が招待されたようだ。
また、他のICEと同様に食堂車が連結されている点も注目だ。当初の計画では、ベルリン―アムステルダム間など、比較的長時間を走る国際列車への導入が予定されていたため、IC2客車では省略された供食設備が必要と判断されたようだ。
厨房を覗いてみると、さすがに電熱器は設置されていなかったが、電子レンジ以外にオーブンが設置されており、簡単なグリルは可能となっている。ただし、残念ながらビールサーバーは設置されておらず、説明では瓶ビールのみの提供とのことだった。
「国際列車」運転は当分できず
大きな期待を背負っての門出となったICE Lだが、懸念材料がないわけではない。
ICE Lは当初、23年からの営業運行を目指し開発が進められていた。しかし、運行認可の取得が遅れるなどの事情で、当初の計画から約2年も遅れてしまった。
しかも、当初の計画では老朽化したベルリン―アムステルダム間のユーロシティを置き換えることが目的であったものの、25年10月現在で認可取得しているのはドイツ国内のみで、当初の計画が大幅に狂ってしまった。置き換えができなかったアムステルダム方面の列車は、現在ICE 3neoによって運行されている。


















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