スペイン製のドイツ新型特急「ICE L」期待と不安 2年遅れたデビュー、メーカーの先行きは不透明
タルゴ型車両の特徴である連接構造を採用している関係で、1両当たりの車体の長さは短い。編成前後に連結される運転室付き制御客車と、機関車の後ろにあたる客車が全長18.3mなのを除けば、各車の全長は13.3mと一般的な客車の約半分しかない。
このため、1編成は17両と多数の車両で構成されるが、編成全長は機関車を含めても255.8mで、これは一般的な客車列車でいえばだいたい9両分の長さになる。2編成を連結しての運転は考慮していない。編成定員は562人(1等車85人・2等車477人。食堂車の座席12人分を除く)だ。
各車両間はタルゴ型車両の特徴である1軸連接台車となっており、車高も低い。一方で、編成前後に連結される客車だけは通常のボギー台車となっている。機関車との連結や、走行安定性を考慮してこのような構造になったと考えられ、このため屋根の高さが車端部は3.8mあるのに対し中間部は3.6mとかなり異なっている。ただ、屋根の低い中間部分は車高そのものが低いので、車内で圧迫感を感じるということはない。
バリアフリー完備、食堂車も連結
実際に車内へ入ってみると、通常の車両と比較して車体が短いため、部屋の空間が小さく個室のような印象を受けるものの、圧迫感は感じられない。車高が低いので、走行すれば車窓風景もほかの車両とは違った印象を受けるかもしれない。
車内は1等車が2列+1列、2等車が2列+2列の座席配列で、一部に大型のテーブルを備えた向かい合わせの席を設けている。このほか、家族向けのコンパートメントもある。欧州の鉄道車両は窓のサイズと座席の配置が合わず、窓側なのに柱で車窓が見えない車両が多い中、この車両は座席と窓の配置がきちんと合っており、好感が持てる。
座席の生地は、これまでの優等列車で使用されていた革素材ではなく通常のモケットが採用された。座席の生地に関しては好みが分かれる部分であろうが、実際に座ってみた感想は掛け心地もよく、材質が変わったことによる問題はないという印象だ。


















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