スペイン製のドイツ新型特急「ICE L」期待と不安 2年遅れたデビュー、メーカーの先行きは不透明
ドイツ鉄道がタルゴ社と車両導入契約を締結するのは、1994年に導入した夜行列車用客車(すでに引退)に続く2回目のことだった。
契約内容は23本の中速列車(最高時速250kmまでの列車)で、最初の契約額は5億5000万ユーロ(約972億円)相当となるが、これを単純に編成数で割ると、1編成当たり2400万ユーロ(約42億4200万円)となり、機関車「ヴェクトロン」と客車「ヴィアッジョ」(オーストリアのレイルジェットで使用実績がある客車)の組み合わせを提案したシーメンスや、同等のICEと比較すれば安価な契約額となった。また、オプションを含めた枠組みの中では、最大で100本まで追加することが含まれている。
この時点では、客車の老朽化が深刻な問題となっていたベルリン―アムステルダム間の国際列車「ユーロシティ(EC)」を置き換えることが主目的であったため、当初のプロジェクト名では「ECx」と呼ばれていた。
タルゴ社独自技術の連接・低床車
新型客車は、タルゴ社独自の技術として知られる1軸連接式客車をベースにした「タルゴ230プラットフォーム」を採用し、最高速度は時速230km。編成には機関車1両と推進運転用の制御客車を含む。タルゴ230プラットフォームは、デンマークやブルガリア、エジプトが納入契約を結んでおり、民間のフリックストレインも交渉中であることが伝えられるなど、高い期待を集めている車種だ。
21年には、名称をECxから、高速列車ICEグループの一員となる「ICE L」に改めた。LはLow Floor(低床)を意味し、車椅子対応の入口を含め各車両の乗降口の高さは76cmに揃えている。ホームの高さは、欧州内の鉄道各路線で揃っていないため、バリアフリーの観点で乗降口の高さをどうするかという問題が常に付いて回るが、ICE Lは低いホームに対応した。


















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