韓国対応は無難に切り抜けたが… 、"日本初の女性首相"高市早苗がぶち抜いた「ガラスの天井」の上に立ち込める《暗雲》の正体
首班指名選挙でも、衆議院で獲得したのは237票で、かろうじて過半数の233を上回った。参議院では1回目の投票では過半数を占めることができず、立憲民主党の野田佳彦代表との決選投票で選ばれた。

もっとも、自民党は昨年10月の衆院選と今年7月の参院選で惨敗し、公明党に代わって与党となった日本維新の会を合わせても、衆参両院で過半数を制していない。そのような中で、まさに薄氷を踏む思いだったのだろう。衆議院の首班指名で自分の名前を呼ばれ、周囲からの拍手にお辞儀をした後、一呼吸おいて高市首相は緊張感を吐き出すように下を向き、目を閉じた。
一方で、自民党総裁就任直後の共同通信の全国緊急電話世論調査で68.4%が「高市氏に期待する」と答えるなど、スタート前から国民の人気は上々だ。これを背景にして、いかに少数与党の国会や自民党でリーダーシップを発揮するのか。
得意の「機知」で日韓関係はまずまずの出だし
抱える課題は決して少なくないものの、逆境をバネにして高市首相はここまで上り詰めたといえる。原動力は笑顔と機知だろう。
笑顔は、松下政経塾に入る際、故・松下幸之助氏に褒められた。機知については、首相就任会見での韓国メディアと交わしたやり取りが話題となった。
高市首相は韓国から強硬保守派と見なされ、警戒されてきた。例えば「中央日報」日本版は、高市首相の誕生について「『穏健派』とされる前首相・石破茂氏とは異なり、『女性版安倍』と呼ばれるほど保守色の強い高市首相へのリーダー交代は、韓日関係にも影響を及ぼす可能性がある。両国とも当面は協力関係の継続性に重点を置くとみられるが、過去史問題などをめぐって摩擦が生じる懸念も出ている」と報じている。
だが、21日の就任会見で高市首相が韓国メディアの質問に対して「韓国のりは大好き。コスメも使っています。韓国ドラマも見ています」と答えたことは、少なくともこれまで韓国側が抱いてきた先入観を崩すことになるだろう。
それは、1983年1月に首相として最初の外遊地に韓国を選んだ、故・中曽根康弘氏と通じるものがある。中曽根元首相は歓迎晩餐会で韓国語でスピーチし、韓国語の歌「黄色いシャツの男」を披露した。
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