新幹線「LINE予約・PayPay決済」導入で何を狙う 東海道・山陽・九州、従来の予約方法との違いは?

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JR東海の広報部・東京広報室に、今回の「LINEからEX」サービス開始について聞いてみた。

まず、サービス導入の経緯や目的についてである。指定席に占めるEXサービスの割合は6割近くまで達しているとのことだが、一方で年1回程度など新幹線の利用が少ないライトユーザーを中心に、会員登録を面倒に感じている顧客やクレジットカードを所持しない、利用しない顧客が一定数おり、そういう人たちは駅の切符売り場で紙の切符を購入しているという。

そこで、そうした人たちをターゲットにして、会員登録不要でLINEアプリから新幹線を予約しPayPayで決済し、手持ちの交通系ICカード、または予約時に発行されるQRコードで手軽に利用できる「LINEからEX」サービスの開始にいたったというわけだ。

JR東海としてはあくまでもEXサービスの「エントリーモデル」と位置付けており、より簡単な手続きでの予約・決済を実現するため、乗車直前に駅の切符売り場で紙の切符を購入する利用者に対して、必要な機能に限定したサービスとしている。

したがって、まずは気軽に利用できる「LINEからEX」で、EXサービスの機能の一部を体感したうえで、より利便性の高いEXサービス(スマートEX・エクスプレス予約)への移行を検討してもらうという認識のようである。

そのため、「LINEからEX」では従来のEXサービスとはサービス内容が異なり、シートマップによる座席の指定は不可で、窓側か通路側の選択にとどまるほか、予約変更ができない(払い戻しのうえ、再度購入)といった差異がある。

ポイントはちゃんと貯まる

なお、PayPay決済で気になる点といえば「ポイントの付与」だが、ちゃんと付与されるので安心してほしい。新幹線のチケットはそれなりに額が大きくなる。例えば東京―新大阪間の場合、のぞみ号通常期で1万4720円。「LINEからEX」で購入した場合は1万4620円で通常の切符の100円引き。付与率0.5%だとしても約73ポイント。往復だと146ポイントとなり、ちりも積もれば大きい。

東海道新幹線ハードユーザーの筆者にとっては、今後の利用が楽しみになってくる。東海道・山陽・九州新幹線(東京―新大阪―博多―鹿児島中央)で利用できる。同様のサービスをほかのJRや大手私鉄も取り入れることができれば、日本全体で鉄道利用の促進につながってくる。そうなることを願いたい。

渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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