ミシュランガイドにホテル版があるって知ってる?レストラン「星」とは違う5つの基準で"最高評価"を受けた日本のホテル7軒の特別な魅力

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アフタヌーンティーであれば、レストランよりも値段が安く、気軽に利用しやすい。ペストリー部門の実力を測ることもでき、手土産を選ぶ際の参考にもなる。ディナーの前後にホテルバーを組み合わせるのもよいアイデアだ。食前酒で期待感を高めたり、食後酒で余韻を深めたりすることによって、食体験がより心に刻まれる。カクテルの完成度やウイスキーをはじめとする蒸留酒の品揃えは一級で、大人の時間を過ごせるだろう。

ミシュランキーの課題

ホテルセレクションの世界同時発表は成功したといってもいいが、ミシュランキーに何か課題はあるのだろうか。

1つ目は、ブランディング。ミシュランガイドといえば、真っ先にレストランセレクションが思い浮かぶ。ホテルガイドであると認識している人は決して多くない。ただ、反転して鑑みれば、レストランセレクションは既に世界で大きなプレゼンスを確立しているだけに、グウェンダル氏が描く旅という枠において、レストランセレクションとの相乗効果で、ホテルセレクションの認知が高まり、利用も促進されていくことは十分に考えられる。

次は、素養のある調査員の確保。ホテルの調査は多岐にわたり、空間も広くて関わるスタッフの数も多いだけに、難易度が高いといえる。ホテルを精査できる能力を有した調査員を、継続的にどれだけ確保できるかが鍵となる。グウェンダル氏は、レストランセレクションとホテルセレクションのどちらも担当する審査員もいるという。訪れたデスティネーションで、1人の調査員が地域のレストランと宿泊したホテルの調査を行えるので効率がいい。ホスピタリティ業界で十分な経験を積んだ者を採用した上で、十分なトレーニングを行っており、質も担保している。

ミシュランガイドのリサーチでは、80%もの人々がミシュランガイドを知っていると回答。74%もの人々が、行き先を決めるのにミシュランガイドの存在が大きな影響を与えているとしている。ミシュランガイドはこういったポジティブなフィードバックを背景に、よりDXを推進。公式サイトや公式アプリでは、レストランとホテルの検索や連携をスムーズにし、予約まで一気通貫できるようにして、ユーザーを取り込もうとしている。

レストランだけではなく、ホテルにも本格的に力を入れたミシュランガイド。今後“旅の意思決定”において、どこまで主導権を握っていけるのか、来年以降の世界同時発表にも注目したい。

東龍 グルメジャーナリスト

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とうりゅう / Toryu

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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