
これ、マイチェン(マイナーチェンジ)だよね――。
そんな気楽な感じで「ソルテラ」改良モデルのプロトタイプに乗ったら、まったく違うクルマに仕上がっていて心底驚いた。
走行の舞台は群馬県内のクローズドエリアで、クルマが走行するには少し狭い印象がある、アップダウンが激しい約6kmのワインディング路だ。
サーキットというよりは、起伏が激しいラリー競技のターマック(舗装路)といった雰囲気である。
「水平対向+シンメトリカルAWD」を感じる
試乗日は朝から雨模様で、路面は完全なウェット状態。ここで、新旧ソルテラを乗り比べた。
1周目は、ソルテラを含めた4車種(トレイルシーカー、アンチャーテッド、北米生産大型SUV)で、トヨタとのアライアンスBEV(電気自動車)開発総責任者PGM(プロジェクト ゼネラル マネージャー)を務める、旧知の井上正彦氏に同乗していただいた。
走り出してすぐに感じたのは、“動きの粘り”と“予見性の良さ”だ。

具体的には、コーナリングを前にブレーキを踏むとジワッとクルマが前に沈み込み(ノーズダイブ)、ステアリングを切ると少ない操舵角でクルマ全体が自然とコーナーイン側に吸い込まれていく感じだ。ステアリングには、手応え感もある。
ロールは少なく、旋回中に車重をネガティブに感じることもなく、自分の意思がコーナーの出口からさらにその先へと自然と導かれていく。
EV(電気自動車)でありながら、スバルの真骨頂である「水平対向エンジン+シンメトリカルAWD」で培った走りを、より深く追求したという印象だ。
ソルテラ改良モデルの走りに感心しながら、井上氏にEV市場の現状とこれから、そしてスバルのEV戦略について聞くと「構え(かまえ)をつくること」の重要性を強調した。

欧米各国でEV市場の変化を肌で感じる中、国や地域の政治的な思惑もありEVシフトの行方はなかなか見えない。しかし、井上氏は「開発を止めるわけにはいかない」と実感を込める。
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