『丸亀製麺』のトリドール、「店長年収最大2000万円」異例の"神制度"誕生のナゼ 背景にある「心的資本経営」を紐解くなかで見えてきた狙いとは

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トリドールは以前より「食の感動で、この星を満たせ」をスローガンとしている。単なる機能としての「食事」ではなく、食事をするときに生まれる「感動」を重視して店舗設計を行うわけだ。今回の「心的資本経営」はその延長線にあって、顧客の「感動する心」を重視するとともに、それを生み出す従業員の「心の幸せ」も重視しようという経営方針である。

よくよく考えれば当然の話なのだが、消費者としては従業員がギスギスしているよりも、彼らが楽しそうに働いている方がなんだか楽しくなる。つまり、従業員が楽しく働いていれば、その店舗の雰囲気は良くなり、それが顧客の心の「感動」につながる。好循環が起こる、というわけだ。

同社は、この従業員と顧客の幸福のサイクルを「ハピカン繁盛サイクル」(従業員の「ハピネス」と顧客の「カンドウ」)と呼んでおり、今後は、顧客だけでなく従業員の働きやすさも重視するという。

トリドール
「ハピカン繁盛サイクル」(画像:トリドール公式HPより)

「データ」ではかられる幸福度

ここまで聞くと、「なんだか綺麗事だなあ」「宗教チック……?」などと感じた人もいるかもしれない。

だいたい今はどの企業も決算説明会資料の末尾にCSR(企業の社会的責任)という項目があって、そこでは概ね今書いたようなことと似たことが書かれている。

だから、まあふんわり聞くと「また似たようなことか」と思うが、トリドールが興味深いのは、そこからの具体化の過程。この「心的資本経営」の一環として、今回話題になっている「店長年収最高2000万円」という取り組みがあるのだ。

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