ある寒い日、バスで鼻を啜ると…。「イタリア在住歴30年」の私が経験してきたカルチャーショック!「外国人はマナー悪い」と叩く人に"欠けた視点"
戦後の敗戦から世界第2位の経済大国にまで上り詰めた時、異文化を受け入れ、それを日本人ならではの勤勉さで世界一のクオリティにまで変身させたのが、自動車産業やカメラ産業だったのではないのだろうか?
ご先祖様たちが異文化を持ち込むな、とスクラムを組んでいたとしたら、日本は未だに着物を着て、丁髷を結っていなければならなかったということになる。

イタリアのおいしい文化の融合
私が住んでいる北イタリアのトリノには、唐辛子を使ったピリ辛の伝統料理が存在する。北イタリアの人たちは、辛いものはもともと食べないし、栽培もしていないのにだ。なぜかと調べてみると、トリノという街は自動車産業で経済が発達した街だから、ということがわかる。
126年前にフィアット本社がトリノに誕生し、南イタリアから多くの出稼ぎ労働者がやってきた。そしてそのまま定住し、世代を重ねていった。彼らは南イタリアの地元で愛していた唐辛子料理を伝承すべく、唐辛子をベランダ栽培したかもしれないし、里帰りする時に大量に買ってきたりしただろう。それがいつの間にか、トリノの料理と混ざり合い、おいしいレシピができ上がった。これはまさに文化の融合といえるだろう。
いつかトリノに来ることがあれば、フレッシュチーズに「電気が走るほど辛い」ソースがかかった「トミーノ・エレットリチ」という前菜や、丸くて小さな唐辛子の中をくり抜いて、ツナなどを詰めてオイル漬けにした「ペペロンチーニ・リピエーニ」(ペペロンチーノの詰め物)という前菜をぜひ味わってみてください。
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