ある寒い日、バスで鼻を啜ると…。「イタリア在住歴30年」の私が経験してきたカルチャーショック!「外国人はマナー悪い」と叩く人に"欠けた視点"
日本の食習慣がイタリアでは嫌われることもある。
イタリアと日本の食習慣の大きな違いといえば、長い麺の食べ方だ。スパゲティを食べる時、イタリアでは啜って食べてはいけないということは、日本でも常識として定着しているように見える。
ところが、イタリアに観光旅行で来ている人の何割かが、スパゲティをズルズル、っと啜って食べているのを見かけることがある。特に中高年の男性にその傾向が強い。おいしいトラットリアやおしゃれなレストランで、大きな音を立ててロングパスタをずずずーっとやっているのだ。周りのイタリア人客たちが一斉に振り向いたりして、関係ない私まで恥ずかしくなってしまう。
「そんなこと知ってるよ! 私はしないよ!」と思うかもしれないが、無意識の習慣とは恐ろしいもので、実はあなたも、知らないうちにやっていて、「あのガイコクジンは……」と指さされているかもしれない。
「郷にいれば郷に従え」は常に正しいのか
異文化を持ち込むな、日本に来たなら日本人がするようにしろ。日本の人に街中でそう言われ驚いたという外国人の方の話を読んだ。彼は、民族衣装的な帽子をかぶっていただけで、いきなり脱げと言われたそうだ。
たしかに郷にいれば郷に従えと言う。例えば日本に来たイタリア人観光客が、人前で鼻を噛むのは悪いことじゃないと言い張り、日本の皆さんに不快な思いをさせたとしたら、それは普通に良くないことだろう。
日本の家庭に土足でどすどす入ってきて「欧米ではこれが当たり前です」と開き直るなら抗議して正すべきだ。習慣の違いによって迷惑を被ったり、不快な思いをさせられるなら、郷にいれば郷に従え!と声を大きくして当然だ。
だが「文化を持ち込むな」というのはどうだろう?
文化とは、いろいろなものが混ざりあって発達し、熟していくものであるはずだ。日本はそもそも、鎖国を終えた時に、まったく異質な西洋文化を受け入れ、幕府を政府に変えた、羽織袴を背広に変えた。だからこそ、列強に植民地にされることなく大国への道がひらけたのではなかったか?
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