JR奈良アクセス特急「まほろば」は観光列車なのか 「安寧・悠久」ツートップで攻め、近鉄を意識した?
最近は観光客が車両を背景に自分自身を撮影してSNSで発信し、それが拡散して新たな観光客が集まっている。報道陣から「インスタ映えを意識しているか」という質問が出ると、佐藤氏は「見せ場は意識してデザインしている」。たとえばシンボルマークを車両のどこに配置するか。撮影のしやすさを重視して扉の近くに配置したとのことだ。
このように書くと、安寧・悠久編成は観光列車のようにも思えてくる。奈良への鉄道アクセスでは近畿日本鉄道が大阪難波―近鉄奈良―京都間を結ぶ観光特急「あをによし」を2022年4月から運行している。
「あをによし」とは奈良にかかる枕詞で、平城京の華々しい様子を表す言葉として万葉集などで用いられている。「奈良を象徴する観光特急となることを願って命名した」と近鉄の担当者が説明する。車両の内装は大人向けの落ち着いたデザインで、老舗ホテルのラウンジといった趣がある。観光列車で定番の半個室のほか、スイーツ、ドリンク、特産品などを売る販売カウンターも設置されている。

近鉄「あをによし」は意識した?
一方、JR西日本がホームページで公開している観光列車のラインナップに安寧・悠久編成は含まれていない。「観光列車を目指しているのか」。報道陣から質問が出ると、JR西日本の担当者からは「大阪から奈良へ向かう列車としてご利用の快適さは求めているが、地元のみなさまといっしょに盛り上げていくという要素をかなり強く取り入れた」と説明し、具体的な言及はなかった。

報道公開終了後にあらためてJR西日本に確認すると、「『まほろば』はビジネスでの利用も想定し、座席コンセントやWi-Fi環境を整備しており、観光列車ではなく特急列車として運行している」とのことだった。
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