JR奈良アクセス特急「まほろば」は観光列車なのか 「安寧・悠久」ツートップで攻め、近鉄を意識した?

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佐藤氏が「奈良らしさ」について探っていくと、鹿だけでなく、お酒、大和野菜などさまざまなものが出てきた。すると、JR西日本からは「それをすべて盛り込んで奈良らしいシンボルマークをつくってほしい」と要望があった。「たくさんの要素を1つに凝縮するのは結構むずかしい作業だった」と佐藤氏が振り返る。そして完成したのが安寧・悠久編成の車両の前面や側面に描かれているシンボルマークである。「きれいにまとまったと思う。自信作です」(佐藤氏)。

安寧・悠久 シンボルマーク
前面に描かれたシンボルマークは「奈良らしさ」の要素を盛り込んだデザイン(記者撮影)

両者の外観デザインを見ると安寧編成の車両前面には蘇芳色と呼ばれる、やや黒みを帯びた赤色が使われている。そこからグラデーションで金色の側面へとつながる。いっぽう、悠久編成は前面が墨露でそこからグラデーションで「灰渋色」の側面へとつながる。灰渋色とは造語で、「仏像が経年変化していく色、粘土質がちょっと汚れていく、時の流れがつくる渋い色」(佐藤氏)だという。

安寧は金色で華やかな印象を受けるが、悠久は落ち着いた色彩ながらクールでモダンなイメージ。その対比が面白い。名称の由来と同様、2つの色彩はどちらも奈良を体現しているという。

安寧編成 側面
金色の側面が華やかなイメージの「安寧」編成(記者撮影)

車内には国宝のレプリカも

車内の色調も外観デザインを踏襲している。ベースとなった683系を大幅リニューアルし、座席や床材、妻面の化粧板を交換した。座席は新快速の「Aシート」と同じ素材が使われている。また、全号車に荷物スペースが設置されている。

悠久編成 車内
「悠久」編成の車内(記者撮影)
【写真】「安寧」「悠久」車内のギャラリースペースには国宝のレプリカが

両者の1号車には文化財のレプリカを展示するギャラリースペースも設置した。安寧編成には国宝「聖林寺 十一面観音立像」の右手原寸大レプリカ、悠久編成には国宝「新薬師寺 十二神将 伐折羅大将立像」の5分の1サイズレプリカが展示されている。どちらの展示も期間限定で、展示内容は今後変わる可能性があるという。

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