JR奈良アクセス特急「まほろば」は観光列車なのか 「安寧・悠久」ツートップで攻め、近鉄を意識した?
安寧とは「社会が穏やかで平和である」、悠久とは「過去から未来まで果てしなく続く」という意味である。JR西日本はこの安寧と悠久というキーワードが奈良を体現する2つの魅力であると考えた。ちなみに「まほろば」は「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味で、『古事記』では奈良を「国のまほろば」と言い表しているという。
安寧編成の導入により、「特急『まほろば』の1日あたりの利用者が2倍になった日もあった」とJR西日本の担当者が顔をほころばせる。これも新車効果である。悠久編成が導入されれば、「まほろば」は安寧、悠久のどちらかで運行し、専用車両に統一されることになる。JR西日本はいっそうの利用増を期待する。

「奈良らしさ」を凝縮
9月29日、安寧・悠久編成が吹田総合車両所・京都支所(京都府向日市)で報道公開された。どちらも3両で1編成。2001年から北陸本線の特急「サンダーバード」などで活躍した683系を全面リニューアルした。デザインを監修したのはGKデザイン総研広島。鉄道のみならず幅広い分野の工業デザインで知られるGKデザイングループの1社で、広島に拠点を置く。「レッドウィング」の愛称で知られるJR西日本の227系のブランディングも同社が手がけている。

車両デザインのコンセプトについて、GKデザイン総研広島の佐藤伸矢取締役は「奈良の魅力を発信することを第一に考えた」と話す。奈良らしさとは何か、奈良らしさをどのように車両デザインとして演出するか、地元の人たちに話を聞き、JR西日本と何度も検討を重ねたという。
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