この変更は、物品税の精神と目的を否定している。国の市場は再び分割され、歪曲され、州外に出ていく商品の価格を評価するため州境の検問所が再開されることになる。
政府はさらに、税収の4分の1以上を占めるアルコール、たばこ、石油製品、電力などを除外することで、国家経済に対する物品税の潜在的な影響力をかなり弱めている。
一方でほかの税の追加を拒んでいるため、財政政策研究所(NIPFP)の推定では歳入減を回避するために物品税を27%に設定しなければならなくなってしまった。
これでは経済は回復するどころか、台なしになってしまう。物品税の骨抜き案では、GDPへの好影響などまったく出ないとする推定もある。
民主主義に必然の試練
野党である国民会議派は、もっと効果的な案に戻すまで、物品税法案の採択を支持しないとしている。同党は、課税逃れの誘因を減らし、税収を増やすために、物品税の上限を18%にすることも望んでいる。そして、公平さを確保するため、もともとの法案に含まれていた紛争解決機関を復活させることを目指している。これは、物品税を運用する物品税協議会が自身の決定に対する裁定を下さないようにするためだ。
モディ首相は国民会議派に対して、改革を阻止し非建設的な反対を行っている、と非難している。が、国民会議派は政府が修正を受け入れるまで、インド人民党が過半数を持たない上院を通過させないとしている。次の財政年度が始まる2016年4月1日に新税を開始する計画は、暗礁に乗り上げるだろう。
こうした膠着状態に、インドの民主主義は発展の妨げになっているという人もいるだろう。物品税の概念の骨抜きにモディ政権を向かわせたのも民主主義。野党が事態の進展を阻止することを可能にしたのも民主主義だ。中国やシンガポールのようなトップダウンの独裁政治国家では、こうした問題は起きない。
しかしながら、インドの統治システムは正しい。トップダウンの独断的な決定でなく、交渉や意見のすり合わせ、妥協などの総合的なプロセスが、賢明で公平かつ成功する政策立案への最も効果的な道筋だとの信念に基づいているからだ。
物品税法案がやがて採択されるとき、それがインド経済をよりよいものにする可能性は高い。
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