そこで、タルン川が刻んだ谷を最短で飛び越える橋が、建設されることになった。長さは2460m。主塔は7本。主塔から橋げたに向けてそれぞれワイヤーが伸びて支えている。
緑豊かな丘陵地を真っ白に切り裂く姿は、高速道路ファン、土木ファンでなくてもなにか人を惹きつけるものがある。

今回、南側(地中海側)からアプローチしてみると、緩やかな右カーブの少し下方に主塔の連なりが見えてきた。高速道路だから、橋自体を駆け抜ける時間は2分ちょっと。
走行中、橋から下を流れる川の姿を見ることはできないが、周囲は視線より高い丘陵が広がっているので、高所の怖さはまったくない。
設計は、フランス人の橋梁技術者、ミシェル・ヴィルロジュー(Michel Virlogeux)とイギリス人建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster) 。
フォスターは、北京首都国際空港のターミナルやボストン美術館、アップル本社(カリフォルニア州)の設計などで知られる人物だ。
橋の北側のたもとには、その名も「ミヨー橋サービスエリア」があり、橋の建設などの歴史を紹介する展示コーナーと、橋のグッズを売るブティック(売店)が併設されている。
さらに、駐車場から5分ほど遊歩道を登った先には展望台が設けられ、橋の全貌を楽しめる仕組みが整えられている。


筆者が訪れた日も、少なくない観光客が展望台を訪れていた。訪問した日は快晴だったが、ブティックで見た絵葉書には、雲海が一面に広がり、橋だけが浮かび上がる光景のものもあった。感嘆の声が出るような写真である。

レンタカーを使わない場合は、いくつかの町からこの橋を訪れる現地ツアーもあるので、それに参加すれば橋を堪能することが可能だ。
ちなみに、日本を代表する巨大吊り橋の「明石海峡大橋」は、主塔の高さが海面から298mとこちらも相当高いが、見えている部分ではやはりミヨー橋のほうに軍配が上がる。
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