定年後、給料が5割減…40、50代が知らないと地獄を見る「再雇用の残酷すぎる現実」
再雇用後の給与は、定年前の30%から65%程度減少するのが一般的です。これは、多くの再雇用者が最も大きな不満として挙げる点です。長年、高い責任を負い、同じ仕事内容を続けているにもかかわらず、給与だけが激減することに納得がいかないと感じる方は少なくありません。
特に、子どもの学費や住宅ローンが残っている世帯にとって、この収入減は大きな経済的負担となり、定年後の生活設計を狂わせる一因となります。
再雇用者が直面するもう一つの現実は、仕事の「やりがい」と「存在意義」の喪失です。多くの企業は、再雇用社員に責任の軽い作業を割り当てることが多いのです。これまで培ってきた専門性やリーダーシップが活かされず、モチベーションを著しく損ねる可能性があります。
また、かつての部下が上司となり、その指示に従う立場になることが珍しくなく、「部下に顎で使われるような状況は精神的に辛い」という声も多く聞かれます。こうした環境の変化は、長年会社に尽くしてきたベテラン社員のプライドを深く傷つけ、自己肯定感を低下させてしまうのです。
日本のサラリーマンにとって、会社の肩書や名刺は、単なる所属を示すものではありません。良くも悪くもその人の「社会的な価値」そのものを表す記号であり、どうしてもアイデンティティの一部だったりするものなのです。
わたしが国内中小企業、国内大企業、外資系企業などの300人(30代~60代)を対象に行ったアンケート調査の結果、大学卒業後一度も転職したことがない大企業に勤める40歳後半から60歳の男性は、定年後について、いまだに意識が低いことが明らかになりました。
彼らは「会社の呪縛」に囚われ、会社の中の目の前のことだけをがむしゃらに解決し続けてきたのです。ところが、定年を迎えると、この「会社の看板」を失い、自分が何者であるかを見失ってしまうことがどうしてもあるのです。
会社に依存する生き方しかしてこなかった結果、自分が社会にどのような価値を提供できるのか見えておらず、突然、大きな喪失感を抱えてしまうのです。
「安全」に見える再雇用が、実は「ハイリスク」な理由
なぜ、これほどの不安や不満があるにもかかわらず、多くのサラリーマンは再雇用以外の選択肢を考えないのでしょうか? その背景には、長年日本の企業文化が培ってきた「会社中心主義」と「安定志向」があります。
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