「亀のスープの作り方とは?」、朝ドラ「ばけばけ」で注目・小泉八雲がアメリカ時代にまとめた唯一の料理本がユニークすぎた

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八雲が残した唯一の料理書
挿絵は小泉八雲自身が描いたという(画像:『小泉八雲のレシピ帖』より)
2025年度後期のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」で登場人物のモデルとして注目されているラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。
彼はアメリカでジャーナリストになったあと1890年に来日、その後日本に帰化するのですが、アメリカ滞在中、ニューオーリンズの主婦たちに教わった異国情緒あふれるレシピを一冊にまとめていました。
その内容はとてもユニークで、レシピ本というよりは「読むための料理本」で150年前の普通の人たちの暮らしが垣間見られるようです。
日本では『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』として1998年に発行。本記事では、このたび新装版として改めて出版された『小泉八雲のレシピ帖』に掲載されている監修者・河島弘美さんのまえがき「八雲が残した唯一の料理書」と、八雲による料理の紹介から編集部で一部を抜粋、再編集して掲載します。

来日以前の若き日にまとめた料理本

ラフカディオ・ハーンは、古く美しい日本の風物や民話を魅力的な文章で欧米読者に紹介し、晩年には日本に帰化して小泉八雲と名のった著述家のことである。日本では「雪女」「耳なし芳一」「むじな」などの作品をとおして親しまれてきた。

『小泉八雲のレシピ帖』(原題:La Cuisine Créole/クレオール料理)は、そんなハーンが来日以前の若き日にまとめた料理本で、友人知人たちから聞いて書き留めたレシピ満載の、興味深い一冊である。

ハーンは1850年、ギリシャ生まれ。その後、アイルランドに移ったのち、19歳の時に単身アメリカへ。職を転々とする苦労の末、新聞記者として認められるようになり、シンシナティで、さらにはニューオーリンズで健筆をふるう一方、翻訳や創作にも活動を広げていく。

ニューオーリンズはミシシッピ川の河口近くにある港町で、アメリカには珍しいラテン系の街でもある。

まだシンシナティにいた頃、ジョージ・ワシントン・ケイブルという人物の文章をたまたま読んで心をひかれたことが、ハーンにニューオーリンズ行きを決意させた理由の一つと言われる。ケイブルが描いたニューオーリンズのクレオール文化に、ハーンは夢中になったのである。

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