高市氏の当選阻止へあの手この手? 自民党総裁選の裏で"暗躍"が噂される「公明党」の隠しきれない思惑
公明党は今夏の参院選で自民党と共に惨敗したことで、「存亡の危機」を迎えている。
四半世紀にわたる自民党との連携の中で、安全保障・防衛政策などで自民党に寄り添ってきた結果、「平和の党」という結党の原点から大きく乖離。加えて、支持者の高齢化もあって、創価学会を母体とする「宗教政党」としての組織力が半減状態に陥っている。そのため、ここにきて党内外から「自民党の“下駄の雪”から脱却し、本来の使命である『保守化の歯止め役』に徹することが必要」(創価学会幹部)との指摘が相次ぐ。
それも踏まえて、昨年11月に結党満60年となった公明党は、党内最強部隊とされてきた女性部(旧婦人部)を軸に、組織力を再強化。今回の参院選で得た500万票余りを維持・拡大することで、「これまでどおり、次期国政選挙での自公の選挙協力を自公連立の政権基盤と位置づけ、少数与党下での連立組み替えの動きを牽制するのが当面の戦略」(同)との見方が広がる。
幹事長辞意→即撤回“ドタバタ劇”の舞台裏

そうした中、公明党の西田実仁幹事長は9月11日の記者会見で、参院選での敗北を踏まえた「総括」を発表。その中で、①6月の東京都議選での3人落選、②参院選比例区での約100万票の得票減などを「党存亡の危機」と位置づけた。
併せて、自民党の旧安倍派を中心とする、いわゆる「裏金議員」を推薦・支持したことが「党の清廉なイメージを損なった」と分析。これらの責任をとって幹事長を辞任する考えを示した。
しかし、斉藤代表は翌13日に「現体制で党勢回復に取り組む」という方針を明言し、すぐさま西田氏も辞意を撤回するという“ドタバタ劇”を演じた。これに対して、党内からは「初めから仕組まれていた“猿芝居”」(若手幹部)という厳しい声も漏れてくる。
斉藤氏は昨年11月の臨時党大会で、直前の衆院選で落選した石井啓一氏の後任として、代表に選出された。ただ、2024年9月まで約15年にわたって代表を務めた山口那津男氏(7月の参院選を機に政界から引退)を党幹事長などとして支え、しかも山口氏よりも年長という党長老だけに、代表就任の時点で周辺に「自分は参院選までのつなぎ役。選挙が終わったら後進に道を譲る」と公言していたとされる。
しかし、参院選での敗北によって自公政権が衆参で少数与党となった時点で、自民党内に「一部野党の取り込みによる政権の枠組み変更」(有力幹部)を模索する動きが台頭。公明党内にも「誠実な人柄で各野党幹部にも信頼されている斉藤氏しか対応できない」(幹部)との声が急拡大し、総裁選に先行する形で代表続投を決めたとみられる。
だからこそ、斉藤氏の最大の関心事が「総裁選で誰が新総裁に選出されるか」(周辺)となったのは当然でもある。
自民党総裁選には、事前の予想どおり、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保相、小泉進次郎農林水産相(届け出順)の5氏が出馬した。
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