倒産急増の焼肉業界で「焼肉きんぐ」が"一人勝ち"の理由とは?"食べ放題"だけじゃない魅力を現地レポと幹部取材で深掘り!都心出店の真意も聞いた

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なお、焼肉といえば一口大に切ったものが一般的だが、焼肉きんぐの肉は大ぶり。カルビもステーキのような1枚肉を、焼いた後にカットする。見た目から満足度を感じてもらうための工夫だそうだ。

大ぶりにカットされた肉は見た目でも満足度を感じさせる。食べ放題でもみみっちくならないのは重要なポイントだ(撮影:今井康一)

石焼ビビンバは青のりのようなものが入っていて、磯の風味があるのが面白い。一般的に濃い味付けのものも多いが、こちらの石焼ビビンバはあっさり目で、いわば和風だ。量も茶碗1杯ぐらいと軽め。

皿数を多く注文できるよう、1皿の量を少なめに設定。石焼ビビンバも1人で食べられるほどの量(撮影:今井康一)

というのも、焼肉きんぐでは1皿1皿の量を少なく設定してあるからだ。皿数を多く注文でき、さまざまな種類を楽しめるわけだ。

以上分析してくると、味と価格のバランスの良さ、そして、食べ放題を食のエンターテインメントとして最大限楽しめるよう、小さな工夫が積み重ねられていることが、焼肉きんぐの人気を支えていることがわかる。

都市部への展開を加速させている理由

ただ、コストダウンを実現させる上で、店舗立地は重要なはずだ。なぜ、都市部への展開を加速させているのだろうか。

岩谷氏によると、今後は年に20店舗のペースで拡大を予定しているが、郊外ロードサイド店舗がメインで、都市部については良好な物件があれば出店するというぐらいの心構えだそう。

郊外ロードサイドで展開を広げてきた同チェーンにとって、都市部への展開は認知度アップの意味が大きい。ただしフラッグシップ店舗のように、宣伝の機能だけ持たせて採算は度外視、というわけではない。

「1店舗1店舗、売上を確実にとっていく。浅草ROX店、南池袋店、川崎駅東口店など、いずれもオープン後好調に推移している。これならば大丈夫だということで、新宿西口大ガード店のオープンに至りました」

6月にオープンした新宿西口大ガード店は100坪超・席数130席の大型店で、焼肉きんぐの中でもトップクラスの売り上げを確保しているそうだ。客層が他の店舗とは異なり、観光客も含めた幅広い客層が訪れる。

取材で訪れたのは平日の日中だったが、開店時間の11時になるとすぐに客が入り始めた。アルコールも注文していたようだ。

競争の激しい繁華街で将来にわたり席数を埋め続けられるか、ブランドとしての力を試されることになるだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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