倒産急増の焼肉業界で「焼肉きんぐ」が"一人勝ち"の理由とは?"食べ放題"だけじゃない魅力を現地レポと幹部取材で深掘り!都心出店の真意も聞いた

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「飲食全体がコロナ禍の影響から回復した中で、物価高を背景に低単価の商品へと需要が流れている。単価が3000円前後の焼肉食べ放題も厳しい状況です。単価が上がれば客数は減るため、価格転嫁も簡単にはできません。効率化によってコストを下げながら、満足度を上げて客数をいかに増やしていくか、が課題となっています」

対策として同社がまず追求していくのが「商品のおいしさ」だという。

肉のスリットの幅や角度まで、細かく発注

まず食材の高騰対策としては、さまざまな国から肉の買い付けを行うことで、価格を抑えながら品質の高い食材を仕入れている。

さらに、肉のカットや調味、焼き方の工夫で、おいしさをアップさせる。

「例えば肉をやわらかくし、タレを染み込みやすくするためのスリットも、幅や角度まで細かく決めて、加工工場に発注しています。味のブラッシュアップも、社長を含む経営陣が出席する改善会議で継続的に行っています」

最近の改善会議では12月からのグランドメニュー改訂が取り上げられた。五大名物のブラッシュアップが行われ、改善された商品のテスト提供がすでに一部店舗で始まっているそうだ。

また、話題づくり、客を飽きさせない取り組みとしての期間限定フェアも欠かせない。フェアは年5回開催されており、北海道、韓国のフェアなどが定番。また近いところでは、肉にフォーカスした肉フェスフェアが行われたそうだ。

韓国は焼肉と親和性の高いテーマとは言え、ありきたりにならないよう、毎回流行を取り入れ、切り口を変えながら開催している。「10ウォンパン」や、「フライドポテト マヌルパン味」など、話題性の高いメニューが並ぶ。

では、実際の実力はいかほどだろうか。今回、五大名物のうちきんぐカルビ、壺漬けドラゴンハラミ、石焼ビビンバを試食した。

筆者は普段カルビを食べないが、きんぐカルビについては、一般的なカルビから想像する脂っぽさがなく、赤身に近いように感じた。スリットが入っているだけあってやわらかく、肉の脂とタレの味が口に広がる。

細かなスリットが入っており、肉がやわらかく、タレがしみ込みやすくなっている(撮影:今井康一)

壺漬けドラゴンハラミはピリ辛のタレがよくしみていて、エスニックな印象。焼き方にコツがあり、細長い肉を巻きながら焼いて熱を内側に閉じ込め、蒸し焼きにする。これによりレアな焼き上がりになるそうだ。

好みにもよるが、火は通しすぎずレア気味にするのがコツ(撮影:今井康一)
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