資金調達に困った企業の駆け込み寺「桐生のバフェット」に買い場到来。グロース市場改革で「上がりますよ。面白いほど」

群馬県桐生市。かつて織物産業で栄え、真夏の最高気温が40度を超えることもある猛烈な暑さでも知られるこの町に近年、資金繰りなどの問題を抱える上場企業の経営者が頻繁に訪れるようになった。地元在住の投資家、須田忠雄氏(79)と会い、出資の確約を取り付けるのが目的だ。
資産家で長期投資を基本とし、経営にあまり口を挟まないことを信条とする須田氏は資金調達に困った企業の駆け込み寺となっている。地方都市に身を置き、企業価値を見極めて投資に取り組む姿勢は「オマハの賢人」と呼ばれ、同氏もお手本とする米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏のイメージと重なる。
「だいたい頼まれたのを買っている」。現在は平均月1-2社の訪問を受ける須田氏は、桐生商工会議所内にあるオフィスでこう話した。最重視するのは経営者の資質。面接ではトップが顧客と取引先、自社がすべて満足できる「三方よし」の状態を実現できる人物かどうか、潜在力を見極めるという。
停滞期にあるグロース市場の企業にとって須田氏は得がたい存在だ。機関投資家が入らない小型株では、流動性もつかずに放置されているケースも少なくない。ただ足踏み状態から抜け出せれば、株価が十倍以上になる「テンバガー」もあり得る。小型株には「うまくいけば5倍、10倍当たり前。下手したら20倍、30倍」になる魅力があると話す。