大地震が発生したとき、避難に鉄道は使えるのか 「動かすべきだったのでは」と鉄道会社社長
鉄道の災害からの復旧については、「東日本大震災を契機として、ひたちなか市からの働きかけにより災害復旧費用の9割を公的負担とする仕組みができた。このときは東鉄工業がJRの復旧工事と並行して湊線の復旧にもあたってくれた」といい、「普段から災害を想定して日ごろから信頼できる業者と円滑な関係を結んでおくこと」や「利用者とも『鉄道は絶対に必要』と思ってもらえるような関係を築いておくことが重要」と話す。
また、災害発生時の対応については、「日ごろから想定される状況をできる限り多くシミュレートし、いざという時に迅速・正確に対処できる体制を整えておくことが重要」と強調した。

災害後の迅速な避難にも鉄道は使える
一方で、鉄道が災害時の避難手段として威力を発揮するのは、災害後であると主張するのは、鳥取県の若桜鉄道元社長の山田和昭氏だ。早稲田大学梅津光生名誉教授が主宰するRail-DiMeC研究会は、生体医工学研究者、災害医療スタッフ、鉄道技術者をはじめとする異分野融合チームで、鉄道の災害医療への活用に向けた研究を行っており、山田氏も参加している。
山田氏は「研究会メンバーの災害派遣医療チーム(DMAT)の医師の話を聞いていく中で、被災後に、災害による傷病者に加えて医療施設・福祉施設に入っている大人数の入院患者や入所者を避難させる必要がある」と話す。「ある地域が被災すると水道や電気などのインフラが止まることから、医療ケアをすることが難しくなる。災害による傷病者だけではなく、人工透析患者など普段から医療ケアが必要な患者も含め、被災地から離れた医療機関に迅速に搬送することが望ましいが、大災害時にはこうした患者が数千人単位で発生する。
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