SLから電車特急まで「北の大動脈」函館本線の記憶 ディーゼル機関車重連が牽く急行が「山線」を力走
ニセコを発車した急行「ニセコ」は山線最大の難所「上目名越え」に挑む。蒸気機関車の時代は多くのSLファンがC62形重連の力闘をカメラに収めたが、DD51形重連もフルスロットルでエンジン音を山峡に轟かせて勾配を進む。黒松内、蕨岱を過ぎると海岸線に近い長万部に向かって勾配を駆け下りていく。

長万部からは単機運転となるため、駅に到着すると補機の切り離し作業が始まる。その時間を利用して名物駅弁「かにめし」を購入、遅い昼食としよう。身軽になった「ニセコ」は長万部から噴火湾沿いに走り函館を目指す。
「寅さん」も旅した函館本線
この時代、映画『男はつらいよ』の山田洋次監督は第5作「望郷編」で小樽築港機関区から小沢駅までD51形の貨物列車を寅さんがタクシーで追っかけるシーンをロケ撮影した。この貨物列車は国鉄の全面協力で特別仕立ての列車だったと、後に山田監督は話してくれた。『男はつらいよ』シリーズでは15作「寅次郎相合い傘」でも青函連絡船から客車列車に乗り蘭島駅、小樽駅を乗り継いで函館本線の旅をするシーンがある。
山線ではJRの発足後、民間団体が寄付などで運転資金をまかなう形で苗穂工場に保存されていたC62形3号機による「C62ニセコ号」が運転されたが、早々に運転中止になってしまったのは残念だった。

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