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都庁前の食料配布会には”子連れ”の姿も――都会の「孤独」と増える「貧困」に向き合うNPO、身寄りのない利用者の死後には埋葬まで寄り添う

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こうしたジレンマからホームページでは寄付募集より先に、相談者が安心してアクセスできることを最優先に設計している。それでは寄付が集まりにくくなる可能性もあり、「発信は悩みながらやっている」(大西氏)。

大西氏は、2021年から内閣官房の孤独・孤立対策担当室政策参与を務めている。「まさか自分が、と3回聞き返しましたよ」と笑う。

2023年5月には孤独・孤立対策推進法が成立した。家族や企業といった従来の支え合いの仕組みが崩れ、公的なサービスだけでは追いつかない。その隙間を埋めるNPOのような存在を、国も頼らざるをえないのが現実だ。

当たり前に支えられる社会を

だからこそ「もやいの究極的な目標は、解散すること」と大西氏は断言する。誰もが公的な仕組みの中で、当たり前に支えられる社会こそが理想であることは間違いない。

企業に対しては、賃上げや従業員がもっと社会活動に関われるような仕組みづくり(ボランティア休暇やNPOへの出向など)を期待する。短期的な成果やイメージの良さで寄付先を選ぶのではなく、人材交流などを通じて、多様な社会のあり方を学ぶことが、結果的に企業自身の成長にもつながると考えているからだ。

家族、会社、行政――。かつての当たり前が通用しなくなった現代で、どう支え合っていくのか。もやいの活動は、その問いを社会に突きつけている。

以下では、もやいの概要や企業との連携などを紹介する。

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