広島で話題の路面電車にも「2つの問題点」がある 世界水準には程遠い「これはLRTではない」

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第1は、運賃収受方式である。運賃は全線均一、降車時払い。ICカード2種類、スマホQRコード、紙券(1日乗車券)、現金が使用できるが、運賃支払い(タッチなど)のタイミングと降車できる扉が一律ではなく複雑で分かりにくい。

広電が導入した鉄道・バスの電子決済システム「MOBIRY DAYS(スマホQRコードとICカードの2種類の乗車券)」を使用する場合は、全扉で乗降できる。この2種類の乗車券各々に専用の乗車用と降車用別々の読取機が全扉に設置され、乗車と降車時にタッチする。

一方、SUICAなど交通系ICカード、現金、1日乗車券の場合は、全扉で何もせずに乗車できるが、降車時は運転士(大型連接車は車掌も)のいる扉まで車内移動し、交通系ICカードはその専用読取機にタッチ、現金は運賃箱に投入、1日乗車券は運転士(車掌)に提示する。読取機は都合5種類もあり、どれにタッチするのか迷う旅客が多い。

混雑する車内の移動は「バリアそのもの」

MOBIRY DAYS乗車券は全扉で乗降ができて便利だが、購入には支払い手段などを含むユーザー登録が必要だ。このため、国内の他都市からの来訪者や訪日外国人観光客は、交通系ICカード、1日乗車券、現金の利用が多いが、乗務員のいる扉からしか降車できない。

降車時に混雑する車内を移動することはバリアそのもの。これが、「公共交通は人にやさしい」に疑問符が付く最大の理由であり、停車時間が長引く元凶となっている。

そこで、広島駅ビル2階のアトリウムに8月3日に新設された広島駅停留所では、MOBIRY DAYS客専用降車扉からも交通系ICカード客を降車させて、地上要員が手持ちの読取機で運賃収受している。降車時間の短縮と車内移動の軽減を図るべく「努力」しているが、現金客には「運賃箱へ行って」と素っ気ない。

この地上運賃収受は、現行の運賃収受の欠点を人力で補っているわけだが、近代的なアトリウムの停留所にはまったく不釣合いで、人件費が低く人手が豊富だった昭和の光景だ。

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