「同級生の裸が見たくて…」「罪悪感で眠れない」。安易に《性的ディープフェイク画像》を量産する“未成年”。AI全盛時代に必要な対応は?

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日本でも、ディープフェイクポルノ被害は増えている。アメリカのセキュリティー会社・セキュリティーヒーローによると、2023年にオンライン上で確認されたディープフェイク映像は9万5820件に上る。2019年と比べて550%増加しており、このうち98%がポルノ映像だ。

標的になった人の国籍は、最多が韓国で53%、次いでアメリカ(20%)、日本(10%)と続く。韓国はデジタル大国であること、アメリカは多くの生成AI、SNSなどのサービスを生み出した国であり、利用が多いことが被害の多さにつながっていると考えられる。日本はそれらの国に続いて被害が多いのだ。

各国の規制はどうなっている?

日本では、ディープフェイク画像や動画等を直接規制する法律はない。実在の人物でディープフェイクポルノ画像や動画を作成した場合は、名誉毀損罪や児童ポルノ禁止法違反などで取り締まれる可能性があるが、申告した場合のみだ。

AVの出演者の顔を芸能人にすり替えた動画をアップロードしたとして2020年に男2人が逮捕されたが、罪状は名誉毀損罪と著作権法違反の容疑だった。ところが近年、徐々にディープフェイクポルノに対する規制が厳しくなりつつある。

罪に問われる国もある。韓国では被害拡大が社会問題化し、「ディープフェイク性犯罪防止法」により、ディープフェイクポルノ画像を作成はもちろんのこと、保存、所持したり、見たりするだけで罪に問われるようになっている。

英国でも、「オンライン安全法」でディープフェイクポルノ画像の作成などが罪に問われるようになっており、アメリカでも、ディープフェイクポルノや本人の同意を得ない性的な画像や動画の投稿を犯罪と見なす連邦法が成立している。

国内でも、鳥取県でディープフェイクポルノの作成や提供などを青少年健全育成条例によって禁止し、違反者に対して行政罰を科すことが定められた。また法務省は、作成のもとになった写真などの子どもが実在することが確認されれば、児童ポルノ法上の規制の対象になりうるとの見解を述べている。

ディープフェイクポルノ画像や動画の作成はあまりに安易で、誰でも手を出すことができる。一方で被害者の受ける傷や被害は甚大であり、社会生活が営めなくなることもある。法律での規制、サービス側での対策なども必要な段階に来ていることは間違いない。

【もっと読む】《SNS→誘拐、性被害、闇バイト》「ゲーム内で恋人作り」「抜け穴使って連絡先交換」 LINEやオンラインゲームが「未成年者への犯罪」の温床に では、ITジャーナリストの高橋暁子氏が、未成年が犯罪に巻き込まれる経路について詳細に解説している。
高橋 暁子 成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

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たかはし あきこ / Akiko Takahashi

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『若者はSNSに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α新書)など著作多数。『あさイチ』 『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。公式サイトはこちら

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