原発事故避難者の互助組織が米沢市で結成、過酷な生活の改善に自ら動き出す

福島市から避難してきた渡辺加代さん(36)は、米沢市内の雇用促進住宅で、小学校と保育園に通う2人の娘と3人暮らし。夫は仕事の都合で福島市内の実家での生活を強いられている。

渡辺さんは「(福島市内の自宅に)戻れるとしたら子どもが大きくなってから」と覚悟を決めている。「とりあえず4~5年先が1つの区切り。子どもが大きくなるまでは放射能が(ほとんど)ないところで生活してほしいというのが夫の願いでもある」と渡辺さんは語る。しかし、雇用促進住宅の入居期限は1年後に迫る。

6歳および2歳の子どもと米沢市内で暮らす母親(26)も福島市内からの避難者で、現在、放射線量の高い自宅には夫だけが取り残されている。この女性は「おカネの問題もあるが、いつ帰ることができるかわからないのが精神的につらい」と打ち明ける。



約200人が暮らす雇用促進住宅八幡原宿舎(米沢市)

福島県や出身市町村による「自主避難者」への支援は十分とは言いがたい。郡山市から避難してきた前出の女性は、「(住民票を移していないのに)郡山市からは広報誌すら届かない」と語る。山形県の新聞やテレビでは、福島県内の情報は乏しい。

東京電力による賠償も、自主避難者に対しては19歳以上の場合で8万円、18歳以下で60万円が1回に限って支払われただけだ。現在、住宅費こそ行政が負担しているものの、2重生活に必要な光熱水費や生活費は自身で用意しなければならない。

雇用促進住宅の設備についても改善の必要性が指摘されている。「風呂場にはシャワーがない。室内の結露もひどく、床や壁など至る所がびしょ濡れになっている」と前出の武田さんは指摘する。また、雇用促進住宅は町中から離れているため、自家用車を持たない高齢者にとっては買い物ひとつとっても大きな負担になっているという。

自主避難者が過酷な生活を強いられているのは、そもそも東京電力や国、福島県、多くの市町村が「自主避難」を権利として認めていないことに原因の一端がある。
 
 福島県内では自主避難者の行動を「心配しすぎ」との見方が根強く、自宅がある自治体で病院を受診した母親は医師から「避難する必要はない。いったい何を考えているんだ」との言葉を浴びせかけられたという。自主避難者はこうした心ない言葉や偏見にも苦しめられている。


世話人の一人である湯野川政弘さん


長岡克典弁護士は山形県弁護士会の有志で避難住民を支援すると発言


渡邉秀一さん(南相馬市出身)による和太鼓の演奏


約80人が集会に参加した

(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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