「ビジネスインサイダー」が急伸した理由 ドイツ最大の新聞社が410億円で買収
今回の買収で、メディア業界が学ぶべきポイントは、以下のようなものだろう。
■スケール(規模)
デジタル広告の世界では、大多数の読者を狙う戦略とニッチな読者層を狙う戦略の2つが好ましいとされる。「ビジネスインサイダー」はシリコンバレー時代にニッチを狙いすぎた経験を生かし、大多数の読者向けに戦略を変え、成功した。
「彼らは小さなサイトをたくさん運用する方法が間違っていると気づいた」と、テック系メディア「ReadWrite」の編集者で、元「ビジネスインサイダー」のオーウェン・トーマス氏は話した。
月間ユニークユーザーは4000万人超
「ビジネスインサイダー」は柔軟だった。編集権を開放し、読者によるニュース取材も認めたのだ。2015年にはサイトへ訪問する月間ユニークユーザー(MUU)は4000万人を超えた。海外展開も進め、テクノロジー版の「テックインサイダー(Tech Insider)」と呼ばれる新たなサイトも現在準備段階に入っているという。また、総合ニュースは、今後ローンチ予定の「インサイダー(Insider)」と呼ばれるサイトで取り上げる予定だ。
ウェブ起業家であり、オンライン旅行サイト「Skift」の創設者でもあるラファット・アリ氏は話す。「早く大きく成長するか、専門性を保ったままひとつの分野に集中するかだ。この中間は死だ。『ビジネスインサイダー』の記事の品質についてはどれだけ文句を言っても構わないが、ビジネススケールの観点から言えば、彼らはかなりよくやった」
■しっかり実行する
思い描いたことをしっかり実行できなければ、良いビジネスモデルは機能しない。「ビジネスインサイダー」は、プレジデントであり最高執行責任者であるジュリー・ハンセン氏とブロジェット氏による安定したマネージメントに恵まれた。2012年にはピート・スパンデ氏を最高収益責任者として雇い入れ、広告戦略にプログラマティック広告をいち早く導入している。