「なぜ先生が?」の裏に「年間約100人懲戒処分」の現実 “盗撮教師”がはびこる教育現場の闇

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その後にも、児童2人の楽器に体液を付着させたほか、給食の食器内に体液を混入させたとして追起訴もされた。さらに、2人の教員が逮捕されている盗撮画像交流グループにも参加していたという。そして、ようやく名古屋市教委も処分に踏み切ったわけだ。

こうした教員による性暴力(わいせつ)事件が発覚したことに、「驚いた」という保護者などの反応をマスコミは報じている。阿部文科相も、その1人だったのかもしれない。6月27日の記者会見で盗撮事件に関して質問され、「こうしたことにより教師への信頼、これが損なわれるような状況が生じていることにつきまして極めて遺憾に思います」と述べ、「断じて許せません」と怒りをあらわにしている。

盗撮事件のような教員による性暴力事件が初めてのことなら、それに対する怒りを示すことで足りるかもしれない。しかし、これが初めてでなく、頻発している問題であれば、それを防ぐことのできなかった文科相としての反省の一言もなければならないはずだ。

ある小学校に掲示されていた掲示物とは…

盗撮事件が発覚する数日前に筆者は、研究授業参観のために訪問したある公立小学校の教室にあった掲示物に目がとまった。

東京都が児童生徒への性暴力の防止に向けた取り組みとして公開しているポスター
写真は参考。東京都が児童生徒への性暴力の防止に向けた取り組みとして公開しているポスター。上は小学生版、下は教職員用(出所:東京都「令和5年度 児童生徒性暴力の防止に向けた取組について」)

そこには「児童生徒性暴力等防止のため」として児童・生徒に対して「不必要な身体接触はしない、個人的なメール・SNS等の送信はしない、閉鎖的な状況で指導・対応をしない」などが記されてあった。

この小学校で事件が起きているということではなく、日本の学校全体で教員による性暴力が問題になっているのだろう、と感じた。

掲示物が職員室ではなく各教室に貼り出されているということは、「そういう教員からの行為には子どもたちも注意して」という意味も込められているのだろう。それほど、教員による性暴力は学校において深刻な問題となっている。

実際、教員による児童生徒への性暴力事件は毎年、多発していると言っていいくらいの数が起きている。

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