「SNSによる小党分立が加速したら」佐藤優と舛添要一が予測《7月の参院選》後の永田町。「無所属と政党公認では雲泥の差」経験者語る政党のパワー

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石丸さんの新党は今のところ、東京都の地域政党ということですが、仮に全国組織化して国政に進出し、たとえば札幌支部を開設したら、そこでの日常活動をどう維持するのか。

また政党が大きくなれば、地方の要望事項も聞かなければなりませんから、SNSではない古い形での政治活動もせざるを得ない。さらに有権者のさまざまなディマンド(要求)に応えるには、官僚機構を動かす必要に迫られるケースもあります。逆に言えば、そうしなければ、全国政党にまで拡大・発展することはないわけです。

この先、石丸さんの新党「再生の道」がどう変容していくのかは予測できません。また彼自身、都知事選での公職選挙法違反(買収)の疑いで、市民団体(2025年2月10日)や大学教授(同2月25日)から東京地検に告発されました。

それでも、彼の公式チャンネルである「石丸伸二のまるチャンネル」には35万人が登録し、Xのフォロワーは57万人を超えています(2025年5月現在)。石丸現象が潰えたわけではありません。

「トゥルー・ビリーバー(true believer)」という概念があります。「忠実な信者」や「狂信者」などと訳されますが、わかりやすく言うと、科学的・客観的根拠のないことでも、それを真実だと思い込む人たちのことです。

私はその要素を、石丸さんや参政党の支持者に見る思いがします。また、石丸現象には大衆のニヒリズムを感じます。

ニヒリズムの影──佐藤

石丸さんが話題をさらった2024年の都知事選では、AIエンジニアにして起業家・SF作家でもある、当時33歳の安野貴博さんが15万4638票を獲得しましたね。これは候補者56人中、田母神俊雄さん(元・航空幕僚長)に次いで、5位の数字です。

東京大学工学部出身の安野さんは「デジタル民主主義」を唱え、選挙戦でも「AIあんの」という自分のアバター(分身)をユーチューブに登場させて、有権者とのQ&Aに24時間対応し、しかもその質問事項を分析して政策提言に反映するなど、他者が真似できないAI技術を駆使しました。

これを、メディアは「令和のダ・ヴィンチが描く選挙の未来」などと好意的に取り上げています。

確かに、安野さんは優秀な人なのでしょう。しかし、知的な立てつけは単純にできています。彼の言う「デジタル民主主義」とは、18世紀の啓蒙主義だと思うのです。

要するに旧来の権威や因習を否定し、人間の理性に光を当てて蒙(無知)を啓く(教え導く)という思想です。その意味で、私は「知的な立てつけが単純」と評したわけです。

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