「遅れる」の汚名返上、イタリア鉄道なぜ激変? きっかけは「新参との競争」英仏間列車にも進出
イタリア鉄道の旅客部門、トレニタリアのCEOであるルイージ・コッラーディ氏は、「現在はドイツ、オーストリアの乗り入れ事業に注力している」と前置きしつつ、将来的にはさらに他国への進出も検討していくことになるだろう、と語っている。
一方、イタリア鉄道に参入された側のフランスやスペインの鉄道も黙ってはいない。ほぼ時を同じくして、フランス国鉄(SNCF)は格安高速列車「Ouigo(ウィゴー)」をスペインで運行開始。スペイン鉄道(RENFE)はこれを迎え撃つために、既存の高速列車「AVE」とは別に、低価格サービスの「Avlo(アヴロ)」を投入せざるをえなくなった。

イタリア鉄道を含め三つ巴の戦いとなったスペインの高速列車だが、そのスペイン鉄道は逆に、フランス国内で「AVE」の運行を開始。また、チェコの民間鉄道オペレーター、レオ・エクスプレスの株式を50%取得、筆頭株主としてチェコおよびスロヴァキア、ポーランドにも参入。バルト三国へはコンサルティングで協力している。

「国営航空」の二の舞は避けたい?
欧州では、実質的にほぼモノポリー状態だった旧国鉄が、自国の鉄道で何をせずとも適度な収入を得られる、という時代は終わり、生き残りをかけて積極果敢に他国へ進出する時代になった。
航空業界において、アリタリアやサベナ・ベルギー航空、チェコ航空といった国営航空会社が次々と姿を消していくのを目の当たりにしたことも、政府という強大な後ろ盾を持つ旧国鉄が胡坐をかいている時代ではなくなった、という強い危機意識を持つきっかけとなったと言えるのかもしれない。

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