「遅れる」の汚名返上、イタリア鉄道なぜ激変? きっかけは「新参との競争」英仏間列車にも進出

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イタリア鉄道の他国進出はフランスから始まった。フランス国内での運行認可を取得すると、2021年にミラノ―パリ間および、フランス国内で完結するパリ―リヨン間の運行を開始。業績は非常に好調で、2025年6月からはパリ―マルセイユ間でも運行を開始した。

SNCF TGV Trenitalia Frecciarossa
パリ・リヨン駅に並ぶフランス(奥の2本)とイタリアの旗艦車両(撮影:橋爪智之)
【写真】2021年12月、パリ乗り入れ運行開始初日の1番列車

翌2022年には、スペイン企業などと手を組み、イリョ(iryo)というブランドでスペイン国内での高速列車運行を開始した。

2026年には、これまで着々と準備を進めてきたドイツ、およびオーストリアへの直通運転も開始する予定となっている。ミラノ―ミュンヘン間(約600km)とローマ―ミュンヘン間(約900km)で直通運転を行い、いずれはベルリンなどへ路線網の拡充を進めていくとされ、ナポリ―ベルリン間という超長距離列車も計画している。

Trenitalia Frecciarossa iryo
スペインでも存在感を示すイタリア鉄道。スペイン国内を運行する「iryo」(撮影:橋爪智之)

外国の鉄道に「殴り込み」をかける理由

「この投資は2025~2029年の戦略計画の目標に沿って、より統合され、競争力があり、持続可能なヨーロッパの鉄道ネットワークを構築するという、イタリア鉄道グループのビジョンの決定的な一歩を表している。競争の激化は、より効率的で顧客中心の業界を創出し、鉄道が空の旅に代わる真の選択肢を提供するのに役立つことになる」と、イタリア鉄道グループCEO兼ゼネラルマネージャーのステファノ・アントニオ・ドンナルンマ氏は語る。

欧州では環境対策の面で鉄道の復権が進み、航空に対抗できる高速列車網の拡大が進んでいる。イタリア鉄道のネットワーク拡大もその流れに沿っているといえる。しかし、日本の自分の国とは関係のない、よその国で列車を運行する、ということを不思議に思う人もいるかもしれない。

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