人間の生活は人工知能に脅かされるのか?

あらためて考える「人間ならではの特性」

──そうなると、寿司職人も失業してしまう?

いやいや、そうはならないでしょう。なぜなら、人工知能を搭載した寿司職人ロボットには意識や感情がありません。あくまでも仮定の話ですが、ネタを見きわめるロボット、寿司を握るロボットができたとして、そんなロボットを前にして寿司をつまむのが楽しいでしょうか。私なら、ベテランの寿司職人と会話を楽しみながら寿司を食べるほうがいい。

人工知能の出現を、人間にとっての脅威だと考える専門家は確かにいます。でも、私はむしろ人工知能を上手に利用すればいいと考えているのです。人工知能が得意な分野は人工知能に任せてしまい、私たち人間は人間にしかできない、人間の脳が得意とする分野で力を発揮する。人間と人工知能が互いにすみ分けをしながら、共存していけばいいと。

ポジティブにとらえるほうが脳は活性化する

──人工知能は人類の脅威ではないと?

そもそも技術の進展によって人間が脅威を感じたり、不幸になったりすることを心配するよりも、むしろポジティブにとらえて新たなチャンスとして生かす方向で考えるほうが、脳は活性化されます。私などは、人工知能がさまざまな“障壁”を取り除いたり“負荷”を軽くしてくれて、人間の活動をもっと自由にしてくれるものとみています。

現在だって、スマホが1台あれば、どこへでも迷わず行くことができますし、オフィスに縛られる必要もない。一時期はやった「ノマド」みたいな言葉も、今や当たり前になりましたよね。スマホがない時代には、電話やFAX、メールを使うためにはオフィスにいなければならなかった。でも今はそんなことはまったくなくなりました。

今、外国人観光客が大勢来日していますけど、スマホのおかげで言語の障壁もないに等しくなっています。完璧な自動翻訳技術までは確立されていませんが、日本国内を移動する分にはかなりストレスが減っているはず。人工知能を含めた技術が、人間をより自由でクリエーティブな活動をする支援をしてくれる、そんなふうに期待しています。

──新しいビジネスのヒントはどんなところにあるのでしょうか?

今まで人間が扱えなかったような巨大なビッグデータから、あるいはITの進化がもたらす自由から何が生まれてくるか、私たち自身、持てる想像力や構想力をフルに働かせなければ、これから人工知能が創り出すであろう新しい経済や市場に適応できないでしょう。その意味では、過度に心配する必要はないとは言え、楽観視もできません。

たとえば、ブロガーという職業が典型的な例です。ブログを書いて、それが多くの読者を獲得することでおカネ儲けができるなんて、インターネットが普及する以前には誰も考えていませんでした。しかも、ブロガーの中には非常に人気を集めて、スターのような存在になる人も出てきました。こういう想定外の事態がこれからも起こってくるはずです。

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