中国景気の減速懸念を背景に、株価は不安定な状態が続いている。日経平均株価が2万円の大台に乗せていた8月上旬までとはムードは一転。こうした局面になると株式市場に流れ込んでくるマネーも細る。上昇相場に乗ってきたIPO(新規株式公開)ブームも一段落だ。
株価は投資家がその企業に対してつけた評価。発行済み株式総数と掛け合わせた「時価総額」の大きさはその企業全体の価値を示す。東洋経済オンラインは10月15日に「1人当たり時価総額が高い300社ランキング」を配信したが、今回はその逆バージョンとして「従業員1人当たりの時価総額が低い300社ランキング」を紹介しよう。
時価総額はあくまでその企業全体の規模を計るもので、基本的には大企業ほど時価総額は大きくなるケースが多い。この時価総額を各企業で働く従業員1人1人が稼ぎ出している価値という視点で見てみると、さまざまな企業を共通の尺度で計れるはずだ。
直近(2015年9月30日終値)の時価総額が500億円以上の868社を集計対象として、時価総額を従業員数で割って算出した。平均年収(原則として単独ベース)も併載した。従業員1人当たり時価総額は、製造業や陸運業など、人手のかかる業種には不利になる指標だ。企業規模に対して従業員数が多い企業。あるいは、業績の低迷や成長期待が低くて時価総額の水準が落ち込んでいると、1人当たり時価総額は低くなる。
平均年収よりも1人当たり時価総額が低い会社も
業績が低迷しているシャープは12位。最高純益だった2008年3月末の時価総額は1兆8815億円で、1人当たり時価総額は3503万円だった。9月30日時点の時価総額は2330億円、2008年から従業員は4612人減らしたが、時価総額の減少の方が大きく一人当たり時価総額は475万円まで減った。
従業員数の多い会社としては目立ったのは、宅配便のヤマトホールディングス(14位)だ。陸運業でトップの9710億円の時価総額を誇る同社だが、連結の従業員数は19万7056人になる。クオリティの高い配送サービスを維持するにはたくさんの人手が必要だということを物語る。
ランキングの平均賃金にも注目すると、従業員の平均賃金よりも一人当たり時価総額が少ない会社は26社あった。少なくとも会社は従業員の働きぶりを評価して平均賃金を出しているはずだ。株式投資をする際には、割安株を探す目安になる。
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