オーガニックを日常に!「my農家制度」の挑戦 安心・安全が「高級品」の時代は終わった
my農家制度を維持していくには、生産者を支えていけるだけの消費増が必要不可欠。中園さんは現在、飲食店やホテル、企業との取引を模索している。
また、将来の人口減を踏まえ、アジアなど海外への展開も計画中だ。農業の業界全体で問題になっている労働力確保については、人材採用のために海外の現地法人を立ち上げることや、一般の人が収穫などを体験できるファームステイ制度で後押しすることも検討している。
ビジネスへの関心は高いが、利益を上げるということにはあまり興味がないという中園さん。「流通の仕事は、商品を流し続けることに意味があると思っています。価値のあるものを消費者に届け、その対価を生産者に戻すという循環を、止めることなく進めるのが私の役目です」。
持たないくらし、不便・不満は工夫を生む
そんな中園さんの自宅には、テレビやエアコン、電子レンジといった、いわゆる「生活必需品」とされる家電がない。最近になって炊飯器も捨ててしまった。「以前は特に見た い番組があるわけでもないのにテレビを見ていましたね。ですが、ふと、テレビを見ることに疲れている自分に気づいて、勢いで廃品回収に出しました。エアコンは、室外機を盗まれたのを機に処分しました。すっきりしましたよ」と笑う。
便利なものが何でも手に入る時代に、あえて不便を選ぶという生き方。そ の背景には「モノに支配されることへの恐怖」があるという。「できあがったものに囲まれていると、それ以上の発想が湧かなくなると思うんです。不便な環境では、問題を解決する方法を自分で考えるでしょう」
ご飯は土鍋や圧力鍋で炊き、お菓子は魚焼き用のグリルで焼く。エアコンが無くても、暑ければシャワーを何回でも浴びればいい。今の生活で、家族にも不満はないそうだ。「娘もテレビを見ていると疲れるそうです。自分で自由に遊び方を考えているほうが楽しいみたい」。
一消費者として感じた不満からスタートし、関わる人たちのメリットを考えて、最適な形を模索していく。その根底には、周囲の人や社会、未来への強い「想い」があった。「想い」だけでビジネスを成立させることは難しいが、特に地方から発信するビジネスにおいて、大きな原動力になることは間違いない。
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