オーガニックを日常に!「my農家制度」の挑戦 安心・安全が「高級品」の時代は終わった

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子どもに安全でおいしいものを食べさせたい母親と、安全でおいしいものを作っている農家のために中園さんが考えたのが「my農家制度」だ。欧米の田舎で行われている契約農家(一般家庭が直接農家と契約し、必要なものを年間に必要な量だけ作ってもらう)という仕組みを参考にした。

購入者はどんな環境・どんな方法で作られたものかが分かるので安心できるうえ、通常より安く農産物を手に入れることができる。生産者も必要な量があらかじめ分かっているので、余剰在庫や廃棄の心配をしなくていい。双方にメリットのあるこの取組みは、子どもを持つ母親を中心に口コミで広がった。不揃いで見た目が悪くても、安心でおいしいものが安く購入できるということに価値を認められたのだ。

現在では全国に約600人の会員を持ち、九州全土と沖縄で15の生産者と提携。農産物のほかオーガニックの生活用品も取り扱い、福岡県南東部、うきは市の農場から週3回発送している。九州産で無農薬、という評判から、最近では特に首都圏の会員が増えているという。

毎日の消費は「選挙」と同じ

「この活動は利益目的ではないので広告は出していないのですが、会員さんの紹介でここまで広がってきました。同じような想いを持つ人同士だから、いろんな場所でコミュニティが生まれています。周囲に共感してくれる人が少ない中で、似た考えの人同士が出会うと、すごく強いつながりができるということを知りました」

会員主催で行われるみそやしょうゆづくりのワークショップに、中園さんが講師として招かれることも多く、全国各地を飛び回っているという。

Kimama Clubでは大分県日田市の間伐材を使った無塗装の箸など、地方の手工業品も取り扱っている。

「農産物もそうですが、作ってくれた人やその想いが分かるものには感謝が生まれます。背景に想いのあるもの、国内の産業や人が潤うような循環を生む物を、もっと広げていきたい。消費は選挙と同じで、どこにおカネを払うかでその時代が作られると思うんです。『安いものしか買わない』というマインドがデフレを生み、それがリストラにつながる。給料が下がればさらに安いものしか買えなくなる。そんな未来はイヤじゃないですか」

母親という視点から、社会に対する関心も高い。会員とは商品や食生活のことだけではなく、生き方について話し合うこともあるという。

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