英検2級で早慶上智ICUに合格する総合型選抜受験生の「志望理由書」の秘訣 必要なのは活動実績でなく"問い立て"のセンス

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大学入試のすでに6割が推薦入試になっている現在。推薦入試に興味を持つ保護者や生徒も増えていることだろう。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』を執筆した受験ジャーナリストの杉浦由美子氏は、推薦入試について誤った情報や受験常識がはびこっていると指摘する。今回は、杉浦氏が多くの推薦塾や高校、大学教授、合格者に取材を重ねてつかんできた総合型選抜入試の「実態」について、著書の内容と一部リンクさせつつ紹介してもらった。

誤った情報であふれかえる推薦入試

推薦入試が拡大しており、総合型選抜に関する報道や情報発信が増えています。その中には間違った情報が実に多いです。例えば去年、とある新興塾のオンライン講演をたまたま視聴すると、同塾の経営者がこんな発言をしていました。

「早慶に受かるためには英検1級が必要だ」

しかし、英検1級はかなりの難関資格で、帰国子女でも1級を持っているのはごく一部。疑問に感じた私は早速、大手推薦塾や中高一貫校の英語教諭たちに質問しました。するとみな口を揃えて「それは事実とは違う」「総合型選抜で早慶に進学する生徒は毎年いるが、英検1級は持っていないことがほとんど」と答えるのです。

私が取材する中で見た、早稲田や慶應の総合型選抜の合格者データによれば、英検1級保持者はそう多くなく、ほとんどが準1級か2級でした。

早稲田大学 総合型選抜「日本語による学位取得プログラム」への入学試験(4月入学)地域探求・貢献入学試験

拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』の中で、私はこう書きました。

“(推薦対策の大手予備校)早稲田塾の執行役員・中川敏和さんにも「総合型選抜は間違った情報が多く流れているし、誤解もされている。正しい情報を提供してもらいたい」と言っていただきました”

 

まさに、推薦入試では間違った情報が次々と拡散されているのです。

杉浦由美子
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)
ノンフィクションライター/受験ジャーナリスト
教育を中心に取材をしている記者。現在はダイヤモンド教育ラボ、小学館マネーポストなどの WEBサイトや週刊誌で記事を書いている。 著作は『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)など多数
(画像は筆者提供)

さて、なぜ前述の新興塾の経営者は「英検1級がないと早慶には受からない」と言ったのでしょうか。実はこの塾のほかにも、同じ説を唱えていた塾講師がいたことを知っています。

その理由は、彼らが英語以外の推薦対策指導をすることができないからです。つまり、生徒たちに英検1級レベルの英語力をつけてもらわない限り、早慶総合型選抜を突破できるという約束ができないのです。

実際は、先に述べたように、早慶の総合型選抜の合格者のほとんどは英検準1級ですし、英検2級で早慶に合格するケースも多々あります。一方で一般選抜においては、早慶上智ICUに合格するには、英検準1級の英語力でも足りません。英語に限って言えば、求められる学力はすでにインフレ状態と化しているのです。

総合型選抜の武器は、評定平均・英語力・志望理由書

総合型選抜と一般選抜とで、必要となる英語力にここまで大きな差があるのはなぜでしょうか。前述の拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』の中で、私は以下のようにも書きました。

“栄光ゼミナールの『大学受験ナビオ』 推薦入試リーダーの荒木翔揮さんは言います。

① 評定平均値の高さ
② 英語資格試験のスコアなどで示す英語力
③ 志望理由書のクオリティ

この3つの武器のうち、1つは持っていないと戦えません。」
この3つの総合点で合否が決まっていきます。"
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