英検2級で早慶上智ICUに合格する総合型選抜受験生の「志望理由書」の秘訣 必要なのは活動実績でなく"問い立て"のセンス

誤った情報であふれかえる推薦入試
推薦入試が拡大しており、総合型選抜に関する報道や情報発信が増えています。その中には間違った情報が実に多いです。例えば去年、とある新興塾のオンライン講演をたまたま視聴すると、同塾の経営者がこんな発言をしていました。
「早慶に受かるためには英検1級が必要だ」
しかし、英検1級はかなりの難関資格で、帰国子女でも1級を持っているのはごく一部。疑問に感じた私は早速、大手推薦塾や中高一貫校の英語教諭たちに質問しました。するとみな口を揃えて「それは事実とは違う」「総合型選抜で早慶に進学する生徒は毎年いるが、英検1級は持っていないことがほとんど」と答えるのです。
私が取材する中で見た、早稲田や慶應の総合型選抜の合格者データによれば、英検1級保持者はそう多くなく、ほとんどが準1級か2級でした。

拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』の中で、私はこう書きました。
まさに、推薦入試では間違った情報が次々と拡散されているのです。

ノンフィクションライター/受験ジャーナリスト
教育を中心に取材をしている記者。現在はダイヤモンド教育ラボ、小学館マネーポストなどの WEBサイトや週刊誌で記事を書いている。 著作は『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)など多数
(画像は筆者提供)
さて、なぜ前述の新興塾の経営者は「英検1級がないと早慶には受からない」と言ったのでしょうか。実はこの塾のほかにも、同じ説を唱えていた塾講師がいたことを知っています。
その理由は、彼らが英語以外の推薦対策指導をすることができないからです。つまり、生徒たちに英検1級レベルの英語力をつけてもらわない限り、早慶総合型選抜を突破できるという約束ができないのです。
実際は、先に述べたように、早慶の総合型選抜の合格者のほとんどは英検準1級ですし、英検2級で早慶に合格するケースも多々あります。一方で一般選抜においては、早慶上智ICUに合格するには、英検準1級の英語力でも足りません。英語に限って言えば、求められる学力はすでにインフレ状態と化しているのです。
総合型選抜の武器は、評定平均・英語力・志望理由書
総合型選抜と一般選抜とで、必要となる英語力にここまで大きな差があるのはなぜでしょうか。前述の拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』の中で、私は以下のようにも書きました。
「
① 評定平均値の高さ
② 英語資格試験のスコアなどで示す英語力
③ 志望理由書のクオリティ
この3つの武器のうち、1つは持っていないと戦えません。」
この3つの総合点で合否が決まっていきます。"