英検2級で早慶上智ICUに合格する総合型選抜受験生の「志望理由書」の秘訣 必要なのは活動実績でなく"問い立て"のセンス

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これは、私立大学の一般選抜が、文系の場合は英語・社会・国語の総合点で合否が決まるのと同じです。

さて、先日、とある最難関私立大学の総合型選抜合格者に志望理由書を見る機会がありました。しかし志望理由は曖昧で、私は正直、「どうしてこれで合格できたのか」という感想を持ちました。その学生が合格した理由を推測すると、国際バカロニア認定校出身で、英語力はIELTSで英検1級近いスコア、そして評定平均値は4.1。おそらく、抜群の英語力が評価されて、総合型選抜を突破したのだと考えられます。

とはいえ、「どうしてこの子が?」と思う場面は、総合型選抜の前身「AO入試」でこそ多かったものの、現在ではこうした「なぜ?」という乖離はあまりない印象です。合格者に対しては、合格した要因がしっかり分析できます。早慶上智ICUに合格した学生の大半は、「評定平均値が4.5以上と高い」「英検は準1級」「志望理由書はしっかりと書けている」というケースがほとんどです。

先ほど、英検1級レベルがあれば合格に有利になると書きましたが、一方で、英検2級で合格している学生も少なくありません。彼らの共通項は、「志望理由書が特別に優れている」という点です。では、「優れた志望理由書」とは一体どんなものでしょうか。

それを考えるために、大学が学生に求める能力について考えてみましょう。総合型選抜は“学力以外の要素も評価する入試”と言われがちですが、少なくとも難関大学が求めるのは「学力」です。一般選抜では、高校までの学習の成果を見ます。文系の場合は、一般選抜は英語・国語・社会の3教科。この場合、英語や社会は暗記がメインになるので、暗記が苦手な生徒はなかなか難関大に合格できなくなってしまうのです。

このように、高校までの勉強の中心は「暗記」であるのが実情です。ところが大学入学後は、自分で問いを立て、調べて、レポートにすることが「勉強」になります。例えば、「戦争におけるプロパガンダはどう変わったか?」「ウェブ検索によるカタカナ用語の表記のゆれはなぜ起きるか」など、自分で問いを見つけて研究テーマに据えるところから始めなくてはいけないのです。

総合型選抜の場合、大学に入ってからの「勉強」ができるか、という視点で生徒の学力を見ています。志望理由書やレポートを課すのはそのためで、問いを立て、本や論文を読むなどして調べ、文章にしていく能力を求めているのです。そこで、志望理由書で「本や論文を読んで調べ、文章にしていく能力」を示すことができれば、あとは英検準1級レベルのスコア(IELTSなど)があれば合格が見えてきます。

こうした状況で、英検2級の英語力でも早慶上智ICUに受かるためには、「本や論文を読んで調べ、文章にしていく能力」に加えて、「問いを立てるセンス」まで求められることになります。「優れた志望理由書」とはまさに、この「問いのセンス」が光っていたのです。

英検2級で上智に合格した生徒の、差別化された「問い」

ここで、英検2級で上智に合格した学生の課題レポート(志望理由書)を見てみましょう。拙著では全文を掲載していますが、本記事でも少し紹介していきます。

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その学生が課題レポートで立てた「問い」は、「幼少期にペットを飼育したことが養護性に影響するか」というものでした。養護される立場である幼少期に、自分よりさらに弱い存在であるペットの世話をすることで、果たして養護性が育まれるのかどうか、ということです。

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