「子どもを義務から解放」お寺のフリースクールに見る"学びの多様化"最前線 不登校34万人超えの今考えたい「居場所づくり」
今、全国にフリースクールがあるが、目的や趣旨、運営スタイルはそれぞれ異なる。
「うちは、学校へ行かせることがゴールではないと考えています。ただ、行こうという気持ちになってくれたら、それは嬉しいですね。うちに来る子たちは、すごく素直な子もいれば、社会に揉まれて傷ついた子もいます。その子たちが安心して過ごせることを何より大切にしています。子どもたちは学校で『◯◯しなさい』と言われ続けます。それでは子どもたちは安心できませんよね。ですので、うちでは何も強制しないようにしました」(児玉氏)
9時から15時の間なら何時に来てもいい。その日に何をするかは、子どもによっても、その日のスタッフによっても異なる。
「活動場所はお寺の本堂の畳の部屋や幼稚園の園庭です。園庭では幼稚園児たちもいるので、一緒に遊ぶこともあります。園児と接する中でお兄さん・お姉さんとして過ごし、頼られる存在としての自分を実感するでしょう。
開設して間もない頃は、まずは落ち着ける環境をつくることが第一だと考え、焚き火を囲んでマシュマロを焼いて食べたことも。ここに来た大人はみんな眠くなると言います。それほど今の人たちは普段から交感神経が優位な状態で過ごしているということなのでしょう」(児玉氏)
生活リズムを整え、「学びを始める」フェーズへ
小学校教員歴12年、フリースクールてらこやさん主宰、「楽しいが運動を好きにする」オランダ体育運動教室ハッピースポーツ運営。「大人も子どももハッピーな社会にしたい」と大人の幸福度1位のフィンランドや子どもの幸福度1位のオランダへ教育視察へ。「対話」「余白」「人と比べない」「自己選択」をキーワードに、大人と子どもの幸福度を育むべく活動をしている
(写真:本人提供)
スタッフの一人で、小学校で12年間、教員を務めた渡部和華羽氏は、てらこやさんに参画した理由をこう語る。
「学校が好き、学校が楽しいという子ももちろんいます。その一方で、『◯◯しなければならない』が多い学校に合わない子や、苦しいと感じる子もいます。教職を辞め、そうした子が安心して通える場所を作りたいと思っていたところに、てらこやさんの話を聞き、加わることにしました」(渡部氏)
子どもたちはてらこやさんでさまざまな経験をする。春はタケノコ掘り、夏には水鉄砲や流しそうめん、秋は芋掘り、冬は雪合戦。

















